□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年2月18日発行 第116号 ■ ================================================================== どうやら外務官僚たちは菅政権を見捨てたようだ ================================================================== 私が見てきた外務官僚は面従腹背の臆病な連中だった。 時の政権に楯突くなどということは考えられなかった。 ところがどうやら外務官僚もまた菅政権に謀反を起こしたようだ。 外務官僚が強くなった訳ではない。菅政権の終わりが見えてきたと いうことだ。 臆病で保身的な外務官僚ですら、もはや菅民主党政権に公然と反旗 を翻しても大丈夫だと思い始めたようだ。 いや臆病で保身に汲々とする外務官僚であるが故に倒れゆく政権から 距離を置こうとしているのだろう。 外務官僚は何も変わっていない。 私は2月4日のメルマガ第77号で、菅民主党政権の対露外交を批判 した河野駐露大使のことを、これは異例なことだ、今後の外務省の動き に注目したいと書いた。 河野大使の場合は反発する理由がある。情報収集力のなさを理由に更迭 され、恥をかかされたからだ。 それをきっかけに菅民主党政権を批判する自民党の方についてやれ、と 考えても不思議ではない。 しかし外務官僚の今度の批判発言には驚いた。 2月17日の産経新聞は、先の前原外相の訪露についてこう書いていた。 「外務省の上月豊久欧州局参事官は16日、自民党の『領土に関する 特命委員会』で、現在の日露関係について『過去何十年を振り返って最低 水準に近い』と述べた・・・前原誠司外相が訪露しても(日露関係が) 改善できなかったことを認めたもので、出席議員からは厳しい批判が 相次いだ・・・」 菅民主党政権の外交には何かと批判的な産経新聞であるから、この記事 だけでは上月参事官が果たして前原外相の訪露についてどこまで批判的な 発言をしたのかはわからない。 しかし、野党の会合に呼ばれて日露関係が史上最低に近い、などと みずからの非を認めるような発言をすることは、私の知っている外務省で はまずなかった。 ましてや外相の訪露直後の報告会において、その訪問をかくも否定的な 言葉で語る事は外相を批判するようなものだ。 社員が社長批判を他社の前で公然と批判する事と同じだ。 外務省ならずとも常識ではありえないことだろう。 しかも上月参事官は河野大使と違って将来のある外交官だ。 この自民党の会合では、「ロシアの立場を一方的に押し付けられて 返ってきただけで大失敗だ」、「領土問題の交渉を復活させる見込み がなければ行く必要はなかった」などの意見が出て前原外交非難一色 だったという。 当然、その報告は前原外相の耳に入っているはずだ。 かつてならそのような野党の会合に出席して政府批判をされて返って くるようでは官僚失格の烙印を押されたものだ。 河野発言といい、今度の上月発言と言い、尋常ではない。 どうやら外務省は省をあげて菅民主党政権を見限ったようだ。 了

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