□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年2月17日発行 第112号 ■ ============================================================= 鳩山首相の「方便」発言を利用する社民党の卑劣さ ============================================================== 鳩山「方便」発言が袋だたきにあっている。 確かに鳩山首相は愚かだ。軽率だ。正直過ぎる。今頃こんな発言を してはいけない。この後に及んで弁解がましいことを言ってはダメだ。 しかし、いま我々がなすべきことは、この発言がいみじくもあぶり 出してくれた、「在沖縄海兵隊は本当に抑止力なのか」という問題を 正面から議論しなおすことである。 「方便」でそう言わざるをえなかった、という事は、裏を返せば、 それが抑止力ではなかった、と認めていたとではないのか。 それは「勉強した結果、本気で抑止力だったと悟った」、というよりは はるかに正しいのではないか。 あの時、沖縄海兵隊は実は抑止力ではない、という議論が様々な証拠 をともなって指摘されていたのではなかったか。 沖縄の伊波前宜野湾市長は今でも一貫してそれを追及しているでは ないか。 菅首相が自己保身のために「私は鳩山さんとは違う」というのはわかる。 しかし沖縄に基地は要らないと主張する社民党までもが鳩山発言を批判 するのはおかしい。社民党は沖縄海兵隊は抑止力だとでも言うのか。 「方便」で党首を辞めさせられた。福島社民党党首が可哀想だ。 そう反基地だけで政治家をやっているような照屋寛徳は国会で迫った。 冗談じゃない。 可哀想なのは政局に振り回される沖縄だ。 夢よもう一度と連立政権をもくろむ社民党に利用される普天間問題だ。 ついでのもう一つ指摘しておこう。 社民党が要求している一つが普天間移設関連予算の凍結である。 これについて社民党は絶対に譲れないとしている。 それを見て自民党やメディアは騒ぎ立てる。 社民党の要求を取り入れて普天間基地関連予算を凍結すれば米国が怒り 出す、日米同盟が危うくなる、と。 とんだ茶番だ。 普天間移設関連予算とは何か。 それは辺野古周辺の「環境現況調査継続費約9億円」と「キャンプ・ シュワブ兵舎等移転経費約7億円」の合計約18億円に過ぎない。 グアムにインフラ整備のための予算や思いやり予算の凍結なら確かに 米国は怒りだす。 しかしわずか18億円のどうでもいいような予算を凍結したからと 言って、どうして日米同盟にヒビが入るというのか。 そう思っていたら、オバマ大統領は、連邦議会の予算削減要求に応じて、 とうとう在沖縄海兵隊のグアム移転経費を63%も削減する予算案を議会 に提出したという(2月16日各紙)。 その減額、じつに200億円超である。 もはや日米合意で決められた米側負担は反故にされたのだ。 わずか18億円の予算凍結について米国はどの面下げて日本に文句が言え るというのか。 いま我々の目の前で繰り広げられている普天間がらみの政局はすべて 八百長であり、日本の一人相撲である。 了

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