□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年2月17日発行 第111号 ■ ============================================================= 町村元外相に踏み絵を迫られた菅首相の安保政策 ============================================================== 2月16日に行われた安保政策に関する衆院予算委の集中審議に おいて町村信孝自民党議員が菅首相を問い詰めた。 私はこの国会質疑は歴史に残る質疑になると思っている。 自民党の元外相であっただけのことはある。外務官僚の入れ知恵も あったのだろう。菅首相の弱点を見事についた質問だった。 鳩山前首相の「方便」発言を徹底的に批判した上で、よもや菅首相は そういう認識ではないだろうな、沖縄海兵隊の抑止力を評価するだろうな、 日米安保を揺るがすような政策を取ろうとしているのではないだろうな、 その証をこの国会の場で見せてみろ、こう迫ったのだ。 追及はさらに続く。 鳩山前首相の唱えた東アジア共同体構想は米国に不信感を抱かせた。 放棄するのだろうな。 民主党は「対等な日米関係」というが、これまでの日米関係はどこが 不平等だったというのか、その例を一つでも示してみろ。 よもや普天間基地関連経費の凍結を求める左翼社民党との連携を優先し、 ただでさえ壊れた日米同盟をこれ以上悪化させないだろうな、と。 これに対する菅首相の答弁こそ菅首相の矛盾を露呈した。 民主党政権の安全保障政策の虚を見事に突いた。 国内問題ではどんな質問に対しても強弁する菅首相だが、この日米同盟に ついての応答振りは無残なものだった。顔面蒼白だった。まともに答えられ ないのだ。 なぜか。 それは菅首相が、日米同盟を本心では信用していないのに、政権維持の ために対米従属を最優先しているからだ。 それだけではない。 菅直人という政治家に自らの外交政策がないからだ。ましてや菅首相の 対米外交に哲学・信念が無いからだ。 日米安保にどう対応するかの質問は、今後も手を変え品を変えて菅首相の 喉下に突きつけられるだろう。 その都度菅首相は追い込まれるだろう。 「日米同盟の深化」を唱える限り自民党を超えられない。 対米従属策をとる限り官僚に屈服せざるを得ない。 なによりも、本心でない事をいくら強調しても、それはいずれ破綻する。 米国から自立した平和外交。 この重要性に気づかない限り菅首相はやがて行き詰まる。 了

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