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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

イラク戦争の検証は必要だと言った前原外相 
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年2月15日発行 第106号 ■    =============================================================    イラク戦争の検証は必要だと言った前原外相                    ==============================================================  はたしてこれも前原誠司という政治家の数ある思いつき発言の一つ に過ぎないのだろうか。  2月14日の参院決算委員会で米英のイラク戦争についてこう答弁 したという。  「日本が協力したことが良かったのかどうなのか、冷静にもう一度、 歴史も踏まえて検証しなければならない」。  菅民主党政権の現職の外務大臣こう言ったのだ。  もはや長くはないといわれ始めた菅首相の後を継ぐ最右翼の政治家が こう言ったのだ。  自他共に認める対米従属政治家の前原氏がこう言ったのである。  これだけの重要発言であるのに、これを報じたのは15日の産経新聞 だけである。しかも一段扱いの小さな記事だ。  この答弁を質したのは社民党の又市征治副党首である。  それにも関わらず社民党はこの発言の深刻さを追及しようとはしない。 それどころか民主党との法案成立協議に党をあげて奔走している。  昨年末にはイラク検証を求めた超党派の議員連盟が鳴り物入りで出来た はずだ。どうしてこの前原外相の答弁を歓迎し、ただちに菅民主党政権に イラク検証を始めるように求めないのか。  私はこの前原外相の発言は、みながグルになった壮大な八百長の始まり であると思っている。  その理由はこうだ。  日本だけがイラク検証を行なわないのはおかしい、と言う声を無視する わけにはいかない。  エジプトの市民革命が起きて、民衆の声を無視し続けるとどうなるかが 明らかになった。  イラク戦争検証議連の連中も、何かしなければ立場がない。  社民党はこの前原発言を引き出した事で存在感を誇示できる。民主党の 政策を変えるのは社民党しかない、と叫んで民主党との連携を晴れて 正当化できる。  何よりも前原外相にとっては、対米従属ばかりではない、米国に対して 気骨も示すことが出来るのだ、と、首相の切符を手にする事に役立つ。  皆がこの前原発言の対応次第で得するのだ。  問題はその検証方法とその結果だ。  あたかも日米密約の検証と同じように御用学者や有識者に固められた 専門家委員会をつくって丸投げする。  玉虫色の結論でお茶を濁す。  たとえそうなっても私は失望も怒りも覚えない。  すべては八百長であると知っているからだ。  イラク戦争が間違いだったという事は口が裂けても言わない。  そんな事はいまさらどうでもいい。  イラク戦争が正しかったという強弁すら行なうに違いない。  そしてそれに対してメディアも、イラク戦争検証議連も社民党も 追及しないだろう。  検証することが目的なのだ。  しかし、せめて一つだけでもいいから真実を明らかにしてもらいたい。  あの時、どういう議論を政府内部で行い、最終的には何時、誰が、どう いう根拠で、あの戦争を支持する決定を下したか、という事である。  当時官房長官であった福田康夫氏は、開戦前、小泉首相から「明確には 聞いていない」と記者の取材に答えた。  小泉首相は開戦2日前の2003年3月18日、記者団に対し、「米国 が武力行使に踏み切った場合には、支持するのが妥当ではないかと思って いる」と答えた。  当時防衛庁長官であった石破茂氏は、「この時初めて聞いた」、「閣僚 懇談会のような場で議論した事はなかった」と述べた。  まともな議論もなく小泉首相の一存で決まった、誰もそれに意見を述べ なかった。  この事実一つだけでも真実が明らかにされればいい。  日本国民に、アラブの国民に、そして世界の人々に、かくもいい加減な 決定で、何十万人もの犠牲者を出したあの戦争に加担した日本を知らせる。  それだけでも十分に意味あることである。                              了  

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