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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

 驚いた。米国の核兵器研究に大阪大学が協力するとは。  
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年2月13日発行 第100号 ■    =============================================================   驚いた。米国の核兵器研究に大阪大学が協力するとは。                     ==============================================================  わが目を疑う記事を見つけたのでそれについて書く。  今年に入って百本目のメルマガである。  100号は毎日継続するメルマガの一里塚でしかないが、それでも 一つの区切りである。  その100号にふさわしい大きなテーマとなった。  2月13日の朝日新聞が、核兵器の維持・管理を主目的に設立された 米国の研究施設で、大阪大学が来年から共同研究を進めるというニュース をスクープしていた。  その記事によれば、宇宙の恒星が燃え尽きた最期に「超新星爆発」が 起きるという。そのメカニズム(爆発の際に起きる衝撃波や宇宙線が発生 する仕組み)を地上で再現し、それが核兵器の爆発の性能を高める実験に 利用されることになるという。  その共同実験の国際公募に阪大が応募し、合計12件採用された一つに 選ばれたというのだ。  高度に科学的なことだからその新聞記事の詳細を理解できたかどうか 私には自信がない。  しかし、詳細な事などわからなくても十分だ。  日本の主要な国立大学が米国の資金を得て米国の核兵器開発に加担しようと している。この事実が衝撃的なのである。  しかも知らなかったのではない。知ってしまったから止める、というので はない。  「研究内容は軍事とは直無関係な基礎科学なので問題ないと判断した」と 阪大側は言っている。確信犯なのである。  その一方で、阪大側はこうも白状している。  今度の共同研究を公募するに際しては、基礎研究だけでなく、点火を目的と した共同研究も米側は申し入れたが、阪大側は実験の所管が軍事部門だった ため、断念した、と。  核兵器研究に協力して何が悪い、と開き直るのならまだ分かりやすい。 しかしそうではない。  この共同研究が米国の核兵器開発に加担することになる後ろめたさと責任 の大きさを阪大側は十分に自覚しているのだ。  だからこそ基礎研究に限っているからいいだろうとみずからを納得させよう としているのだ。逃げ道を作っているのである。  この世の中には、同様の事が数限りなく行なわれているに違いない。  言い訳さえ立てば許される。いざと言う時に反論できる。その逃げ道を 作っておけばいいだろう。問題ありと自覚しておきながら、それを止める 勇気を持たずに進んでしまう。  その結果、後に大きな禍根を残すことになる。  今回もその例の一つだと思う。  しかし事は米国の核兵器開発に加担していいか、という重大事だ。  いったん朝日新聞に掲載されて皆がそれを知るところとなった。  果たして阪大はこのまま共同研究を進めることになるのだろうか。  果たしてこの朝日の記事が大きな広がりとなって日本国民の知るところ になっていくのだろうか。  私が偶然に見つけたこの朝日の記事は、はからずも日本の核兵器反対は 本物かどうかの試金石となるに違いない。                          了

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