□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年2月13日発行 第99号 ■ ============================================================= エジプト革命についての私の意見を掲載した東京(中日)新聞 ============================================================== 昨日の午後に共同通信から電話がかかってきて、今度のエジプト革命 についての評価を2時間以内に書いてもらえないかという。 14日が新聞休刊日だからどうしても13日の各紙の紙面に間に合う ように配信したいという。 私は以下のポイントを1500字ほどにまとめて送り返した。 ムバラクを退陣に追い込んだエジプト革命の第一幕は感動的な市民革命 だった。この事はいくら強調してもし過ぎることはない。 今度のエジプトの市民革命は、独裁政権に対する市民の怒りとインター ネットの伝播力の勝利と言われているが、実はもう一つの隠された原因が あった。 それは米国の支援と引き換えにパレスチナ人を見殺しにしてきたムバラク 大統領の権力欲に対するエジプト市民の反発である。 これから始まるエジプト革命の第二幕は、新政権が中東和平についてどの ような政策を取るかを巡って、長く、不透明な展開を見せるだろう。米国を はじめとした各国の介入がエジプト諸勢力と絡み合って推移していく。 その予測は誰も出来ないが次の事ははっきりしている。一つはもはやエジ プトの民主化の動きは後戻りできないということだ。二つめは今度の政変 によってエジプトが直ちに反米、反イスラエルとはならないし、なっては いけないということだ。三つめに、しかしエジプトにたとえどの様な新政権が できても、これまでの米国、イスラエル一辺倒のムバラク政権の中東政策と は一線を画すことになる。それがエジプト市民の望むところだからだ・・・ ここまでは当たり前のコメントである。 しかし私は最後に次のような文章を付加えた。 「・・・エジプト革命は日本の対米関係とは無縁ではない。戦後の日米 関係は日米安保体制を絶対視する為政者の対米従属政策に終始してきたが、 そのひずみもまた確かにあった。 政権交代とその後の混迷によって、今日本は不透明の極みにあるが、その 中で日米同盟と言う名の対米従属政策だけは当然のように深化させられよう としている。 それが果たして正しいのか。本当に日本国民はそれを欲しているのか。 何かのきっかけで国民がその矛盾に気づいた時、エジプト革命のように一気 に流れが変わらないとも限らない。 絶対とも思われた米国の影響力が市民革命の前にかくも脆いことをエジプト 市民はわれわれに気づかせてくれた。この意味するものは深長である・・・」 私が驚いたのは、この末部のコメントを共同通信がそのまま取り上げて くれた事だ。 そして私がもっと驚いたのは、共同通信によって配信された私の意見が 13日の東京(中日)新聞にそのまま掲載されたことだ。 いままで通信社が配信する私の意見は、いくつかの地方紙が取り上げること はあっても、全国紙に掲載されることはなかった。 今回初めて東京(中日)新聞がこれを掲載した。 それを読者に報告したくてこのメルマガを書いたのである。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)