□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年2月11日発行 第95号 ■ ============================================================= 隠されたままの日米密約 ============================================================== 日米密約は何も解明されていなかったという驚くべき事実を読者と 共有したい。 ここまでデタラメだとは私も思わなかった。 昨年12月にアジア記者クラブ主催の講演で語った太田昌克共同通信 編集委員の講演録を読んで思い知らされた。 これは物凄い講演録である。 その要旨を今日のメルマガで書くわけだが、その前にまずその講演録を 入手する方法を書いて置く。 アジア記者クラブ通信の最新号223号(2011年2月1日)にその 講演録が収載されている。以下に申し込めば一部300円で入手できる。 アジア記者クラブ 郵便番号101-0081 東京都千代田区三崎町2-2-13-502 電話兼ファックス 03-6423-2452 メール apc@cup.com http://apc.cup.com/ さてその講演録の要旨の紹介であるが、その演題は「日米密約と安保の闇 官僚主導で引き継がれた『密約』」となっている。 まさしくその演題通り、その内容は衝撃的だ。 とても要約してお伝えできる代物ではない。 その講演録は時間を賭けて熟読しなければならないものだ。 その内容は大手メディアで報じられ、一人でも多くの国民に正しく知ら されなければならない事だ。 しかし次の点だけは指摘しておきたい。 最初に太田氏は講演の中で、沖縄に関する4つの密約、すなわち 1.密約の核心部分である核持込をめぐる密約 2.朝鮮密約(すなわち半島有事の際に在日米軍を出撃させることを 認めた密約) 3.沖縄への核再持ち込み承諾の密約 4.返還基地の原状回復費用の日本側負担の密約、 が、いかに複雑で、周到で、そして相互関連していたか、米国の無理な 要求を日本が飲まされた事を日米双方が十分承知の上で行なわれた密約で あったかを強調する。 次に、鳴り物入りで行なわれた昨年の日米密約の調査報告書は、密約を 密約と素直に認めなかった、つまり狭義の密約、広義の密約などと言葉を 弄して国民の目を欺き、揚句の果てに明らかに密約を密約と見なさなかった、 このごまかしを喝破する。 有識者委員会のメンバーも、そして岡田外相もおかしい、と言っていた というのだ。 極めつきは、日米密約が外務官僚の本流である一握りの対米従属派により 作られ、引き継がれていたこと、それ故に、総理や外相さえも、外務官僚の 判断で選別的に教えられていたこと、外務官僚の中でも、条約局や北米局を 経験した外務省の主流派しか本当の事を知らなかったこと、などを教えて くれる。 これらの事実を太田氏は、有識者委員会のメンバーや生存する事務次官 経験者をくまなく訪ね、聞きだして、気づいたというのだ。 外務官僚を経験した私には、言われてみれば太田氏の言おうとしている ことがよくわかる。 つまり外務省の一握りの者が、仲間にも知らせずに対米従属外交を重ねる。 そしてそういう外務官僚が外務省の中枢ポストを歴任して日本の対米外交を 決める。総理、外相もそれに従うだけの存在なのだ。 この事は、沖縄密約問題に限らない。あらゆる日米同盟関係に及んでいる。 日米関係そのものが壮大な密約であるということだ。 日米関係の実態を一番良く知っているのは米国と一握りの外務官僚だ。 その外務官僚と結びついている一部のメディア関係者だ。 決して日本の総理や外相ではない。政治家でもない。 ましてや国民は何も知らされない。 この現実派深刻である。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)