□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年2月8日発行 第89号 ■ ============================================================= アフガン地域復興チームの欺瞞を公言したカルザイ大統領 ============================================================== 今日(2月8日)の報道の中で私が一番注目したのは、なんといっても この記事である。 2月8日の産経新聞が「アフガン大統領 地域復興チームを批判」という 見出しで要旨次のように書いていた。 ・・・6日、ドイツで開催されたミュンヘン安全保障会議の講演で、 アフガニスタンのカルザイ大統領は、アフガンに展開する国際治安支援 部隊(ISAF)主導の地方復興チーム(PRT)について、「期待された結果 を出していない。国家構造と望ましい統治の成長の障害になっている」 と批判した・・・ この発言は、米国主導のアフガン政策が失敗に終わった、と言っている ようなものだ。 その米国のアフガン政策に無条件に従い、アフガン復興支援と言う名の 下で国民の血税を無駄遣いしてきた日本政府、外務省を批判しているよう なものだ。 周知のとおり米国はアフガンにおけるテロ掃討作戦という名のアフガン人 虐殺を当初から今に至るまで続けてきた。 そして、ある時点から民政復興政策を並行して始めるようになった。 それは、いつまでたってもなくならないテロに手を焼いた米国が、テロの 温床となる貧困をなくさなければテロは減らないと考えたからだ。 決してアフガン国民のための復興支援ではない。 しかもテロ掃討作戦には手を緩めない。あくまでも戦争を続けるだ。 当然ながら危険な状況は変わらない。 だから武力(国際治安支援部隊)に守られて援助活動(地方復興チーム) を行なわなければならないのだ。 軍民一体の復興支援だ。これほど矛盾したものはない。 地方復興の前提はまず平和の回復だ。決して侵略戦争をごまかすための ものではない。 カルザイ大統領に言われるまでもなくうまく行くはずがないのだ。 もっとも、カルザイ大統領は、硬軟とりまぜて米国を牽制し、米国を利用 する形でアフガン大統領の地位を保持し続け、腐敗の極みを繰り返してきた。 何度も日本を訪れて日本の援助をむさぼってきた。 そんなカルザイ大統領に今更批判をする資格はないが、それでもカルザイ 大統領を支援せざるを得ないところに米国の対アフガン政策の矛盾がある。 それに従う日本政府の無能さがある。 アフガン政策は最初から間違っていたのである。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)