□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年2月4日発行 第77号 ■ ============================================================= □■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年2月4日発行 第77号 ■ ============================================================= 民主党政権の対露外交を批判した河野前駐露大使とその衝撃 ============================================================== 誰も気がつかないほどの小さな記事であったが、これは見過ごせない 衝撃的な記事である。 おそらくこれからこの記事の事が様々な形で取り上げられていくだろう。 その前に私の解説を書いて置く。 2月3日の産経と日経が一段の小さな記事でこう報じていた。 河野前駐露大使が2日の自民党外交部会に出席し、ロシア政府高官の 北方領土訪問が相次ぐ背景について、次のように説明したというのだ。 「互いの感情を刺激する発言が双方からあり、高いレベルの政治対話が 継続的に行なわれず、ロシアがいらいらしている」 もしこの発言が事実なら、これは物凄い民主党政権の対露外交批判だ。 河野氏は大使といえども官僚だ。その河野大使がここまで菅・前原民主党 政権の外交を、政治指導力不足だと批判をするとは、ただごとではない。 しかもその発言の場が、民主党政権に対峙する自民党の外交部会である。 一体河野大使に何が起きたのだろうか。 そしてそれを許した外務省と前原外相の関係はどうなってるのだろうか。 河野大使が外務省を辞して、自由な身でこの発言をしたのならまったく 問題はない。 しかし河野大使は駐ロシア特命全権大使の任は解かれたかもしれないが、 いまだ現職の大使であり、外務官僚であるはずだ。 外務省を辞職したとは聞かないし、彼の年齢から言えば待命の後にもう 一回どこかの大使になってもおかしくない。 通例であれば謹慎中の身というところだ。 その発言には慎重であるべきはずだ。 ましてや更迭された菅・前原民主党政権の外交批判などもってのほか である。 しかしこの報道を読むと、紛れもない菅・前原民主党政権の外交批判だ。 菅・前原民主党政権がこの報道を知って黙っているとは思えない。 もし黙っているとしたらもはや菅・前原政権は死に体ということだ。 直ちに河野大使を呼びつけて発言の真意を質さなければウソだ。 その時河野大使は謝罪して外務省にとどまろうとするのだろうか。 菅・前原民主党政権はそれを許すのだろうか。 そして何よりも佐々江外務事務次官はそんな菅・前原民主党政権に対し どう対応するのだろうか。 佐々江次官は河野大使より3年後輩だ。先輩の首を切れるだろうか。 しかも河野大使は外務省の中でも主流を歩んできた官僚だ。 本来ならば外務省が組織を挙げて守る人物だ。 彼の同期生はまだ外務省を辞める年次ではない。 佐々江次官は自らの首を賭けて河野大使を守ろうとするのだろうか。 それとも河野大使は駐露大使を更迭された屈辱をバネに、外務省を辞めて 自民党につき、今後民主党政権の外交と対決していく覚悟を固めたのか。 その上でのこの発言だったのか。 もはや民主党政権が近く下野することを確信して、自民党政権に賭けたと いうことなのだろうか。 河野発言のこれからについて目が話せない。 ただでさえ行き詰まった日本外交の断末魔の醜態かもしれない。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)