□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年2月1日発行 第66号 ■ ============================================================= 国民は今こそ沖縄密約文書の開示訴訟の行く末を監視すべきだ ============================================================== 1月31日の毎日新聞「時流底流」というコラムによって、すっかり 忘れかけていた重大な事を思い出した。 沖縄密約の検証は終わっていないのである。 「時流底流」の記事は、作家の澤地久枝さんが代表となった「市民に よる沖縄密約調査チーム」が1月20に日発足した事を教えてくれた。 そしてこの澤地さんは、沖縄密約を追及してやまないあの西山太吉元 毎日新聞記者たちとともに、沖縄密約文書の情報公開を国に求める訴訟 25人の一人である。 「市民による沖縄密約調査チーム」がなぜ作られたのか。 なぜその代表を澤地さんが買って出たのか。 それはもちろん沖縄密約文書公開訴訟に勝つためだ。 沖縄密約は岡田外相の時、これを調査してその結果が国民に公開された。 そしてこれが政権交代の大きな成果だと喧伝された。 とんでもない。 それは不完全なもので終わってしまったのだ。 そして不完全なものにならざるを得なかった大きな理由は、岡田外相が 自民党時代からの御用学者北岡伸一東大教授を有識者検証委員会の座長に 据え、「広義の密約」はあったが「狭義の密約はなかった」というふざけた 結論を出して終わらせたからだ。 しかし、もう一つの大きな理由がある。 それは外務官僚がすべての機密資料を公表しなかったからだ。有識者委員に さえ見せなかったからだ。 見せなかっただけでなく、見せようにも見せられなかったからだ。 肝心な文書が破棄、隠滅されていた事が疑われたからだ。 それらすべてを岡田外相は知っていながらごまかしたのだ。 すべての機密資料を開示せよ。 隠滅した文書があるなら突き止めてその責任を明らかにせよ。 そうしてもう一度沖縄密約の全貌を再調査せよ。 これこそが澤地さんや西山さんが国を相手に行なっている訴訟なのだ。 そしてこの訴訟は昨年4月に国側の完全敗訴で終わっているはずだった。 「外務省の組織的廃棄の意思決定があったと考えざるを得ない」とまで 言って、政府・外務省などに東京地裁は文書開示の責任を求める判決を 下したのだ。 ところが政府・外務省はその判決を不服として控訴した。 控訴しただけではない。 東京地裁の判決など高裁で覆してみせると言わんばかりに、「全面的に 闘う」姿勢を見せているというのだ。 その事を1月31日の毎日新聞「時流底流」が教えてくれたのだ。 こんな事を決して許してはいけない。 民主党政権に政権交代したというのに、政府・官僚の隠蔽体質は何も 変わっていない。 外務官僚の厚顔さと、それを放置し、擁護する民主党政権の反国民的姿勢 は、自民党時代のそれとまったく同じだ。 地裁の判決を高等裁判所が逆転し、国に有利な判決に上書きさせる。 そのような自民党時代の国策裁判が今も厳然と続くのであれば何のため の政権交代だったのか、ということになる。 澤地さんたちには高裁で勝ってもらいたい。 いや、どうせ最高裁まで上告されるのである、 最高裁で勝訴して、この国の司法の正義をとりもどして欲しい。 そのためには市民の協力と後押しが不可欠だ。 いま行なわれている東京高裁の控訴審において、逆転判決を出させ ないためにも、我々国民は沖縄密約文書開示訴訟を忘れてはいけない。 民主党政権がこれ以上国民を裏切るような事を許してはいけない。 そのために、今こそ国民は澤地さんや西山さんたちの沖縄密約文書開示 訴訟を応援していかなければならないと思う。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)