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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

木村太郎をして「ここまで譲歩してもダメとは・・・」と言わせたイスラエルの非道
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年1月31日発行 第64号 ■    =============================================================   木村太郎をして「ここまで譲歩してもダメとは・・・」と言わせた イスラエルの非道                      ==============================================================  私は1月26日のメルマガ第53号で、イスラエルは決して和平を 認めない。パレスチナがどんなに譲歩してもパレスチナとの和平合意を 目指す気はない。と書いた。  これは私の考えではない。私がレバノンに特命全権大使として勤務して いた時、立場を超えたすべてのレバノン人が私に語った言葉だ。  そしてその事をあらためて実感したのが、カタールのテレビ局「アル ジャジーラ」が公表したパレスチナ交渉に関する秘密文書を知った時 であった。  それを報道した1月25日と26日の朝日新聞の記事を読んで思い 知った。  そして1月30日の東京新聞を見て驚いた。  ジャーナリストの木村太郎氏がみずからのコラム「太郎の国際通信」の 中でまったく同じ感想を書いていたのだ。  「ここまで譲歩してもダメとは・・・」それを見て、思わず(私は) うなった・・・  こういう書き出しで始まる木村太郎氏のその記事は、まずアルジャジーラ が暴露したパレスチナ側の譲歩の数々が、およそ彼が知っている限りでは 考えられないほどの譲歩であることを知って驚いたという。  そして、それでもイスラエルは「まだ譲歩がたりない」とにべもなくその 提案を拒否していた事にもっと驚いたという。  その驚きが冒頭の、「ここまで譲歩してもダメとは・・・」という言葉に つながるのである。  フジテレビの解説委員などを努める木村太郎氏を私は保守的、親米的な ジャーナリストであると見てきた。  その彼が、他の誰もが言及しなかった私の思いを新聞に書いた。  彼はこう締めくくっている。  「外交交渉では『道理』や『約束』よりも『力』がものをいうことを、 この(秘密)記録はあらためて感じさせるのだ」  これは私のようにイスラエルの非道を糾弾するものではない。  読みようによってはだから軍事力強化が重要なのだ、と読めなくもない。  しかしその文脈から読み取れるものは、中東和平交渉が頓挫したまま なのはイスラエルの非妥協的な態度に責任があるというものだ。  木村氏の本音がどちらであるかは私にはどうでもいい。  アルジャジーラの機密文書公開のニュースに関し、私と同じ思いを公表した 者はいまのところ彼しかいない。  おそらく今後も出てこないだろう。  この秘密文書公開を読んで、即座にイスラエルの非妥協的な態度を感じ、 それを活字にしたジャーナリストがいた。  そのことだけで私は木村氏のこの記事を評価したいのである。                             了

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