□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年1月28日発行 第59号 ■ ============================================================= 菅首相にはダボス会議は似合わない ============================================================== 今夜(28日)夜、菅首相はスイスに向けて飛び立つという。 ダボス会議に出席するという。 29日午前(日本時間夜)に特別講演して30日にはとんぼ返りで 帰国するという。 行くなとは言わない。 週末だから国会審議にも影響はない。 しかし菅首相にはダボス会議は似合わない。 ダボス会議は演説を読み上げる場ではない。 社交の場であり人脈作りの場である。会議場外での交流の場である。 参加する者たちは、その人の魅力に惹かれ、その人の発する意味ある メッセージを求めて集まってくる。 そのような人物たちとの個人としての対話であり、会話の場である。 日本人にはもっとも不得手な場である。 国際経験のない菅首相にはもっとも似合わない場だ。 おまけに死に体に陥っている今の菅首相に、世界は何も求めない。 報道によれば日米同盟を基軸にしたアジア太平洋地域の安定を目指す 日本の立場を説明するという。 明治維新、戦後、に続く、第3の開国を行なう、そのためにTPP参加 への意欲を示すという。 そんな官僚たちが用意した演説を、国会答弁のような調子で読み上げて みても、誰も聞かないだろう。理解しないだろう。 スイスの山奥まで出かけていって、官僚たちとの勉強会や食事会に明け 暮れてトンボ帰りをする。目に見えるようだ。 それではダボス会議の出席は無意味だ。 確かにこれまでも日本の首相は無理して出かけた。 森喜朗、福田康夫、麻生太郎など、皆無理をして言っている。 何のために日本の首相はダボス会議に行きたがるのか。 それは世界に期待されて行くのではない。世界の要人の仲間入りをしたい からだ。 仲間入りしているとアピールしたいからだ。 少なくとも市民派出身の菅首相は、そんな馬鹿な真似をしないほうがよい。 それとも自民党の首相がしてきたような事がしたいのか。 そうであれば尚の事、そんな馬鹿な真似は止めたほうがいい。 そう思っていたら、1月27日の朝日新聞が報じた。 米国人ジョージ・ソロス氏と会って地球温暖化防止に貢献する開発途上国の 森林保全事業支援基金づくりを呼びかけるという。 国際協力基金(JICA)との共同出資構想づくりだという。 これは明らかに外務官僚がリークした「やらせ記事」だ。 スイスまで行って外務官僚の権限拡大の片棒を担がされる。 それならますます行かないほうがいい。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)