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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

「日米韓協力は難しい」と認めた外務官僚OB   
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年1月27日発行 第54号 ■    =============================================================   「日米韓協力は難しい」と認めた外務官僚OB                      ==============================================================  私は日米韓同盟と言う言葉はすでに死語になった、と最近のメルマガ で書いた。  それを見事に認めた外務官僚OBの論評を見つけた。  1月27日の産経新聞「宮家邦彦のワールドウオッチ」がそれだ。  OBと言っても私より10年ほど後輩に当たるアラビア語研修の元外務 官僚である。  1980年代のはじめ、私がサウジアラビアに勤務していた時、彼は イラクの地で外交官人生を始めていた。ともに中東外交で協力した仲だ。  その彼が、働き盛りと思われたときに、家業を継ぐといって外務省を辞め たと伝え聞いた時は驚いたが、いつのまにか大学教授や民間企業のシンク タンク員となって外交評論をしているのには、もっと驚いた。  いまでは産経新聞のオピニオン欄に枠をもらって定期的にタカ派の外交 評論を繰り返している。  その彼が日本政府が進める日米韓協力は難しいと言い出している。  私が注目したのはその理由である。  シンクタンク主催の日米韓三極対話に参加するために最近ソウルを訪れた、 その時の体験から次のように感じたという。  まず、韓国から北朝鮮に対し戦争は起こせない。失うものがあまりにも 大きい。金浦空港上空からソウルを眺めた時、約一千万人の大都会の繁栄 は北朝鮮からの砲撃に耐え切れない、戦争覚悟で北朝鮮に報復はできない、 という。  つぎに、中国企業による北朝鮮の経済特区に対する投資が急速に進んで いる事であるという。中国企業の投資で北朝鮮の経済発展が進めば、それが 安保政策に影響を与えざるをえないだろう、つまり経済的理由から戦争は 回避される、という。  三番目に、ここが重要なところであるが、朝鮮半島の将来を決める最も 重要なプレーヤーは米国と中国であって日本ではない、と言っている。 もちろん韓国でもない。  そして次のように続けている。日米韓安保協力を最も望んでいるのは米国 である。日本もその可能性を模索しているのだが、上記の理由を考えれば、 それはうまく行かない、と。  もちろん宮家氏はそこまであからさまな言い方はしていない。  しかし彼が言わんとしていることはそういうことだ。  そしてこれは日米韓同盟の強化が需要だと唱えている者たちが皆内心でそう 思っていることだ。  そう思っていながら、様々な理由でそれが間違いだ、と言えないのである。  そこに彼らの評論活動の限界がある。  何事も、内心思っている事と対外的に発言していることが違っている場合は、 うまくいかない。必ずいつか破綻する。  その典型が菅首相の国会発言、答弁ではないのか。  人間は正直でないといけない。  宮家氏の評論を読んでそう思った。  結局最近の私のメルマガの行き着く先は菅首相の政策批判に落ち着いて しまう。  こころして他のテーマを探そうと思っている。                              了  

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