□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年1月21日発行 第38号 ■ ============================================================= 朝日より劣る読売の情報操作記事 ============================================================== 「辺野古V字案で調整」という1月18日の朝日のスクープ記事に ライバル意識を燃やしたに違いない。 1月20日の読売新聞は一面トップに「グアム移転 日米合意」という 大きな見出しを掲げてスクープ気取りをして見せた。 しかし、何のことはない。嘉手納基地所属のF15戦闘機が沖縄周辺で 行なっている訓練の一部をグアムに移転するだけのことだ。 こんな事はすでに散々報じられた事だ。 その記事の中で読売は、こう書いている。 「政府は、沖縄の米軍基地の負担軽減策に本腰を入れている具体例と して沖縄に伝え、難航する米普天間飛行場移設に対する沖縄の理解につなげ たい考えだ」、と。 政府を援護射撃するために書いたとしたら底の浅い情報操作だ。 さすがの朝日も、このF-15戦闘機のグアム移転合意は、遠慮がちに 小さく取り上げている(1月20日)。 おまけに、戦闘機の燃料など移転に関わる費用は日本が負担する。 国内外の米軍基地に所属する航空機(いわゆる外来機)は嘉手納基地に 飛んでくる、周辺の騒音はむしろ増える、と付け足している。 そう思っていたら、1月21日の毎日と東京が、このF-15戦闘機の グアム移転合意を伝えるために沖縄を訪問した北沢防衛相に対し、沖縄は 冷ややかな対応をしたと報じた。 それはそうだろう。沖縄県民は外来機が飛来するようでは何の軽減負担に もならないといってその制限を求めても、北沢大臣は「米軍の運用上、 難しい」と答えるしかなかったからだ(1月21日読売)。 いくら日本政府が米側に外来機の訓練に配慮を求めても、米軍は 応じない(防衛省幹部)のだ(1月20日朝日)。 普天間移設問題の解決に向けて情報操作を繰り返す朝日と読売。 これがこの国の2大紙である。 新聞はもはや常に批判的に読むしかない。 だまされないぞと思って読むしかない。 そんな新聞に金を払うのは馬鹿らしいが、批判力を養うための教材と 思って読めば腹も立たない。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)