□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年1月20日発行 第37号 ■ ============================================================= 米国公電が暴いた「米国が小沢・鳩山から岡田・菅に乗り換えた」証拠 ============================================================== 今日の新聞で注目すべきは、なんと言っても東京新聞のこちら特報部で ある。 その記事は、ウィキリークスが公開した在韓米国大使館から本国政府へ 送られた公電の中に、昨年(2010年)2月3日にソウルで開かれた キャンベル米国務次官補と韓国青瓦台(大統領府)金星喚(キムソンファン。 口へんのところは火へんに読み替えてください)外交安保首席秘書官(現 外交通商相)との会談に関する、つぎのようなくだりがあると報じている。 「両者(金、キャンベル)は、民主党と自民党は『全く異なる』という 認識で一致。北朝鮮との交渉で民主党が米韓と協調する重要性も確認した ・・・キャンベル氏は、岡田克也外相と菅直人財務省と直接、話し合うこと の重要性を指摘した・・・」 キャンベル氏の発言が、小泉元首相下の自民党政権が北朝鮮との国交正常 化交渉を米国の頭越しに行なった前科を念頭に置いていることは言うまで もない。 東京新聞のその記事は、「この公電を読み解くポイントは、米国が交渉 相手として当時の鳩山由紀夫首相ではなく、岡田、菅両氏を名指しした事 にある」、と書いている。 東京新聞のその記事は、孫崎享元外務省国際情報局長の次の言葉を引用 して東京新聞の見解を補強している。 「(キャンベル氏は金氏と会う前日の昨年2月2日に小沢一郎・民主党 幹事長(当時)と日本で会談しているが、)キャンベル氏は、その際、 小沢―鳩山ラインは米国の防衛戦略に乗ってこないと判断した。一つは在日 米軍基地については米国側の意向に沿わない考え方をしていること、もう 一つは対中戦略政策について、融和外交を進めようとしていたことだった ・・・(鳩山政権から)代わった菅政権は米国にすべて丸投げしている・・」 東京新聞が指摘するまでもなく、もはや米国が菅民主党政権を支えている ことは明らかだ。これまでにも様々な形で指摘されて来た。 しかしウィキリークスが暴露した米公電を引用した東京新聞の「こちら 特報部」の記事は、その中でも最も説得的である。 おりしも今日(20日)の各紙は、19日に枝野官房長官がルース米国 駐日と官邸で会談した事を報じている。 思い起こして欲しい。菅民主党政権の下で、ありとあらゆる民主党幹部が 競ってルース大使詣でをしている。 つい最近でも仙谷前官房長官や玄葉政調会長など会談したばかりだ。 こんな事は対米従属の自民党政権下でもなかったことだ。 もはや菅民主党政権は中南米や中東に見られる米国の傀儡政権の如くで ある。 ダメ押しをするように、菅首相は今日(20)日、都内の講演で異例の 外交演説を行うという。 「外交の大方針」とぶち上げられたその方針は、日米同盟をアジアの 公共財と僭称し、普天間問題や、TPPはもとより、ありとあらゆる 対米従属外交の集大成であるに違いない。 それは聞かなくても手に取るようにわかる。 しかし、これほど日本を馬鹿にしたことがあるだろうか。 これほど日本国民を軽視した首相はいるだろうか。 国政を決める国会が間もなく開かれようとしているのに、そしてその冒頭 で国民に向かって施政方針演説や外交演説を行なうというのに、その直前に 私的な講演の場で「外交大方針」を発表する。 これは前代未聞の誤りだ。 しかし世界の歴史は証明している。 国民よりも米国の利益を優先して保身を図ろうとする傀儡政権の末路は、 かならず国民の手で引き摺り下ろされることを。 そうならない前に菅首相は猛省すべきである。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)