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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

「辺野古滑走路をV字案で合意する」とスクープした朝日のごまかし
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年1月19日発行 第35号 ■    =============================================================  「辺野古滑走路をV字案で合意する」とスクープした朝日のごまかし       ==============================================================  1月18日の朝日新聞が一面トップで大スクープを書いた。  辺野古へ移設する事になっている普天間代替飛行場の設計に関し、 これまで両案併記となっていたV字滑走路(米国案)とI字案(日本案) について、日本が譲歩する方向で最終調整に入った、という報道である。  これは大スクープである。その限りでは朝日新聞の手柄だ。  ところがその記事を読んで驚いた。壮大なごまかしが施されているのだ。  一般読者は朝日この記事を読んでも、何の事か分からないだろう。  しかし私の目をごまかす事は出来ない。  これはまさしく朝日新聞の悪質な情報操作記事だ。  私の朝日新聞に対する懐疑心は、ここに至って確信に変わった。  朝日新聞はもはや紛れもなく米国の手先になって日本国民を惑わす新聞に 成り果てた。  いま私は怒りをこめて渾身の力でこのメルマガを書いている。  結論から言おう。  朝日のスクープ記事は、菅首相の訪米のお土産として、辺野古に米国の 希望通りの最新型飛行場をつくることを飲もうとしている、と言っている のだ。  対米従属の極みである。  保身のために沖縄県民の心を切り捨てる非情な菅首相の真骨頂だ。  しかし、この事をストレートに書いては身も蓋もない。  沖縄県民は怒り狂う。  一般国民でさえも、菅首相の対米従属に驚き、黙っていないだろう。  そこで次のように情報操作を施しているのだ。  いわく、日中、日露関係が悪化しているなかで、日本外交の基軸である 日米関係を立て直す必要がある。  いわく、在沖縄米軍海兵隊のグアム移転の予算案を米議会が今春にも 決定する前に日米合意をしておくことがグアム移転をより確実にする。  いわく、辺野古集落を可能な限り回避するV字滑走路案は、内陸部の 上空にかかるI字案(日本案)よりも安全で騒音被害が少ない。  いわく、V字案は2006年(小泉政権末期)に日米で合意した工程表 (ロードマップ)と同じ内容である。自民党政権時代には沖縄側からV字案 を前提に沖合移動の要望が出ていた経緯がある。I字案(日本案)は 「民主党政権が自民党時代との違いを出す」(防衛省幹部)ためだった。  いわく、そもそも沖縄県民がここまで強く反発したのは鳩山前首相の発言 の迷走にあった。菅首相はその尻拭いをさせられているのだ。                           などなど  ここまで書かれると何も知らない国民は、日米同盟維持のためには仕方が ない、寝た子をさましたのは鳩山前首相の無責任な発言だった。沖縄県民の 危険や騒音被害が減るのであるならいいじゃないか、こう思ってしまう。  しかし朝日の記事が決して触れようとしない重要なポイントがある。  それは、そもそも辺野古移設に関する日米合意は、滑走路を巡って まとまっていなかったという事実だ。日米合意は完全には合意されていな かったのだ。交渉は続いていたのである。  そうであれば今からでも遅くない。  辺野古移設はそもそも必要か、という根本問題に立ち返って日本側から 米側に再交渉を申し入れても米国から文句を言われる筋合いはないのだ。  日米合意を見直すと米国が怒り出す、日米同盟にヒビが入る、というのは ウソだ。脅しだ。できるのやろうとしないだけなのだ。  海兵隊のグアム移転が決まっているのなら、なぜ海兵隊のための代替 飛行場の建設が必要なのか。  それは在日米軍の活動強化のために米国があらたな最新型飛行場を日本の 資金で造らせろと迫ったからだ。火事場泥棒、焼け太り、とはこの事をいう。  V字型とかI字型とか言うが、それは滑走路を2本つくるか1本にするか、 というだけのことだ。  なぜ滑走路が2本いるのか。なぜ滑走路の工法や仕様で米国側と合意でき ないのか。  それは米国がオスプレーという世界でもっとも危険な最新輸送機を沖縄に 導入しようとしているからだ。そのための滑走路が不可欠なのだ。  海兵隊のグアム移転は米国の都合で遅れる事になった。  本来は米国本土に引き取るのが筋だが米側にその余裕はない。  グアムの整備が整うまで普天間へ居残るしかない。  それには沖縄の反発がある。  しかし米側にとってもっと深刻なのは、その危険な普天間基地へ、世界で 最も危険なオスプレーを配備しなければならない事だ。  事故が起きる可能性は高い。しかし今度事故が起きれば沖縄県民の怒りは 爆発する。日本国民が目覚める。日米同盟の危機が来る。  だからはやく辺野古に新飛行場を造りたいのだ。  日本政府はこの事を隠し続けてきた。オスプレーの配備を隠し続けてきた。  しかし普天間合意を最終決着するためにはもはや隠しきれなくなった。米国 が国民に白状して、説得しろ、と迫ってきたからだ。  なぜ朝日新聞はこのようなスクープを書いたか。それは沖縄県民や、国民に、 いつかは知らせなければならない衝撃を、前もってやわらげようとしたからだ。  情報操作をして、なんとなく仕方がないと思わせようとしたのだ。  政府と結託し、政府から情報をもらって書いた節さえ感じられる。  政府は朝日と言う新聞を選んで書かせたという疑いさえ抱く。  結論から言おう。  普天間問題の本質は、米海兵隊をグアムへ移転するかどうかではない。 それはもうとっくに決まっている。  普天間問題の本質は辺野古にあらたな米軍基地(飛行場)を造らせるか 拒否するかの問題である。  あらたな基地を辺野古に造らせてはいけない。  基地の固定化を許してはいけない。  菅首相を訪米させてはならないのである。                             了  

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