□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年1月16日発行 第28号 ■ ============================================================= 日米韓同盟の名の下に日韓は対米忠誠度の競い合いをしてはならない ============================================================== 1月16日の産経新聞が、いかにも産経新聞らしい記事を載せていた。 その言わんとするところはこうだ。 すなわちクリントン国務長官がワシントンの講演の中で、同盟国に言及 する際、韓国より先に日本の名前を取り上げたという。 この事が現地の外交官の間で注目されているという。 クリントン国務長官は昨年9月の演説でアジアの同盟国に言及した際は 日本より先に韓国の名をあげた。 昨年9月といえば普天間問題をめぐる鳩山前政権の迷走によって日米関係 が最悪の状態になっていた時だ。 当時、米ヘリテー時財団のクリグナー上級研究員は「米政府当局者から 意図的に順序を入れ替えたと聞いた。日本はアジアでの最重要の同盟国の地位 を韓国に明け渡した」との見方を示していた。 それが再び日本の名前が韓国の名前より先になるほど関係改善が見られつつ あるということだ。 私の解釈を付加えてその記事の趣旨を書くとこういう事だ。 しかし、この短い産経新聞の記事ほど情けない記事はない。 外交関係者の間で注目されていると書いているが、世界の外交官が集まる ワシントンで、日本と韓国の順番に一喜一憂する外交関係者など日本と韓国の 外交関係者をおいて他にどの国の外交関係者がいるというのか。 こんな記事を大袈裟に書いて送って来る佐々木類ワシントン特派員もそう なら、それをあたかも重要な記事のように掲げる産経新聞も産経新聞だ。 あまりにも卑屈で売国的だ。 何事につけても日本をライバル視する韓国だから、韓国もまたクリントン 国務長官の発言に一喜一憂しているに違いない。 韓国にだけは負けたくない日本は、クリントン国務長官の発言に勇気づけら れてますます日米同盟深化に熱心になるに違いない。 それを眺めながら米国はほくそ笑んでいるだろう。 日米の国民や外交関係者に目覚めてもらいたい。 日米韓同盟を米国に対する日韓の対米忠誠度競争にしてはいけない。 米国の底の浅い戦略に乗せられてはいけない。 どちらが先に米国から自立できるか。日本と韓国はむしろそれを競う べきである。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)