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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

タカ派に流れる世論と文民統制の崩壊をうかがわせる東京新聞の記事 
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年1月11日発行 第19号 ■     ===============================================================   タカ派に流れる世論と文民統制の崩壊をうかがわせる東京新聞の記事         ===============================================================  今や最強の護憲論派、平和主義者を自称する私にとって、気になる記事 を見つけたので、その事について書いてみたい。  1月10日の東京新聞「論説室から」という小さな記事は、昨年12月 18日付の東京新聞の社説「新防衛大綱 軍拡の口実を与えるな」に ついて読者から厳しい批判が寄せられたと書いている。  批判の対象は、その社説の中で、今度の新防衛大綱は有識者懇談会の 報告書の内容をそのまま踏襲したものであり、これではだめだ、文民統制 (シビリアンコントロール)の観点から国会でより深い議論が欠かせない、 と書いた箇所であるという。これに読者が噛み付いたらしい。  そして東京新聞の論説者は、あえて反論するとして、次のように書いて いる。  国会で防衛政策をめぐる真剣な議論が行なわれた形跡はない。十分時間が あったにもかかわらず、民主党が新大綱に関する党内議論を始めたのは 10月になってからだ。防衛大綱を決めるのは政府だが国会での議論は当然 だ。至高の責任を有する国会議員が防衛に知識も関心もなければ文民統制は 機能せず、国を誤る、と反論している。  もっともな反論だ。  これのどこに噛み付く理由があるのだろうか。  東京新聞は今や大手新聞の中では一番リベラルな新聞である。その読者に してこの批判だ。  これが読売や産経の読者ならもっと強い反論が寄せられたのかもしれない。  これを要するに、政府、メディアの洗脳よろしく日本の世論は一億総保守化、 右傾化、タカ派になりつつあるという事ではないのか。  しかし、その事よりももっと深刻な事がある。  今回の新大綱は文民である官僚主導で作られたものである。その意味で その文民が憲法違反の軍拡に走っている。  だからこそ東京新聞の反論記事は、それでは不十分だ。国民から選ばれた 国会議員によって議論され合意されたものでなければ真の文民統制にはなら ない、と反論するのだ。それは正しい。  2010年版防衛白書もこう書いている。  文民統制とは「民主主義国家における軍事に対する政治の優先、または軍事 力に対する民主主義的な政治による統制を指す」、と。  しかし東京新聞の反論でさえも空しいものがある。  今の国会ではまともな防衛論議はなくなった。真の護憲政党、政治家が ほとんど力を失ってまともな防衛論議ができなくなったのだ。  いくら東京新聞が国会での議論を求めても、それが出来なくなってしまって いるのだ。  要するに文民統制がきかない国会になってしまった。  これこそが大問題なのである。                             了  

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