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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

「週刊ポスト」の小沢一郎インタビュー記事の舞台裏を説明する 
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年1月7日発行 第10号 ■       ===============================================================    「週刊ポスト」の小沢一郎インタビュー記事の舞台裏を説明する      ===============================================================  発売中の週刊ポスト1月14日・21日号に渡辺乾介という政治 ジャーナリストによる小沢一郎へのインタビュー記事が掲載されている。  このインタビュー記事の企画に一役噛んだ一人として、その記事が出来 上がるまでの舞台裏の一端を説明する。  昨年来のメルマガの読者に対しては、その協力に対するお礼と仁義をかね て、そして今年新たに参加した読者にたいしては、情報提供として、この メルマガで書く事にした。  すこし長くなるがお付合い願いたい。  私は週刊ポストの編集関係者から昨年末に、年末年始の企画に対する協力 要請を電話で受けた。  その企画とは小沢一郎を追い続けてきた政治ジャーナリスト渡辺乾介氏に よる独占インタビューであるという。  週刊ポストの依頼はこうだった。  インタビューの中で小沢一郎に聞きたい質問事項を各界の論客から募って いる。天木さんには日米同盟と脱官僚支配の二点について質問したい事を書い てもらいたい。  これに対し私は早速質問事項を書いてメールで週刊ポスト編集部に送った。 質問を作るに際しては、メルマガの読者にも意見を聞いてみた。  読者から寄せられた意見はすべて私の考えている事をそのまま聞いてもらい たいというものであったので、それを送った。  以下はその時の私の質問状である。記録を振り返ってみれば、昨年12月 7日に発信している。 以下引用 小沢一郎氏に対する公開質問状 1. 対米従属の日本でいいのか  対米従属の日本のままでは日本は食いつぶされてしまう。これは心ある 日本人なら誰でも心の中で思っている事です。  ここまで日本が対米従属に終始する最大の理由は日本の安全保障を米国 に委ね続けてきたからです。  しかし冷戦が終わって20年余りを経た今日において、日米安保体制は もはやかつての日本を守るものではなく米国の戦争に協力するものに変貌 しました。その事に国民も気づき始めました。  日米同盟を今すぐ廃棄せよとは言いません。しかし日本は未来永劫に 日米同盟を維持して対米従属に甘んじていいはずはありません。自主防衛 を確立して日米同盟から自立する事を目指さなければなりません。  そこで質問です。  日本の自主防衛はどうあるべきか。この答えは、つまるところ憲法9条 を変えて強い軍隊を持つ方向に行くのか、それとも憲法9条を堅持し、 その下で自衛隊を米国の戦争協力の自衛隊から本来の専守防衛の自衛隊に 戻すとともに中国、南北朝鮮を含めた東アジア地域においてお互いが軍事 的脅威にならないという地域的集団安全保障体制を構築する平和外交を 目指す、この二つの方向のいずれかしかないと思います。  私は日本の生きる道は平和外交の方向しかないと思っていますが小沢氏 はどのように考えますか。小沢氏は憲法9条堅持派か憲法9条改憲派か、 どちらでしょうか。 2. 公務員改革について  私は2003年にイラク戦争に反対して外務省を解雇されるまで35年 間外務省のキャリア官僚でした。藤崎駐米大使や谷内前外務事務次官と 同期生です。  外務官僚時代を通してすべての省庁の官僚と仕事上の付き合いを重ね、 この国の官僚組織のすべてを熟知しているつもりです。  その体験から断言しますが、これ以上官僚支配を許しておけば日本の 蘇生は望めません。国民に選ばれた政治家が、官僚支配の日本から、国民 のための政治主導の日本にこの国のシステムを変えていく。そのための 公務員改革は不可欠です。  しかし既得権を奪われる官僚組織は手を変え品を変えて抵抗しますから、 本物の公務員改革を実施する事は容易ではありません。  そこで質問です。小沢氏は真の公務員改革を行なう方法として具体的に どのような方策を考えておられますか。  私が最善と考える案はズバリ各省庁の事務次官ポストを廃止すること です。官僚組織はピラミッドの如くであり、事務次官をトップとした徹底 した上下関係の組織です。官僚は皆事務次官を目指し、保身と出世主義に 身を粉にします。官僚たちは政治家である大臣よりも事務次官のほうを見 て仕事をします。言い換えればその事務次官ポストを廃止すれば、たち どころに官僚組織は崩壊し、局長が横一線になって政治主導の政策を競い 合うようになるでしょう。こうして政治が官僚を使いこなす最善の形が 実現することになります。  この事務次官ポストの廃止案は仙谷氏が行革担当の大臣の時に早々と ぶち上げたものでした。私もそれを期待していたのですが、官僚たちの 猛反発にあって仙谷氏はたちどころに方向転換してしまいました。  その後の民主党政権は脱官僚どころか官僚に屈したかの如くであり、 この事が菅・仙谷民主党政権の支持率低下の大きな理由の一つと思われます。  もう一度小沢氏に質問します。  小沢氏が首相になった暁にはどのような公務員改革を行なおうとして おられるのか。今までのどの首相もなし得なかった本物の公務委員改革と は何か。事務次官ポストの廃止という究極の公務員改革を断行する考えは あるのか。お聞かせ願いたいと思います。  これに対し週刊ポスト編集部からお礼とともに、確かにこの質問状は 渡辺氏に手渡しておくという連絡が入った。  そして昨年暮れの週刊ポストにインタビュー記事の前半が出版された。  しかしそこには私の質問事項に関するインタビューはなかったので、 今年初めに発売される後編に掲載されるのだろうと思って年が明けるのを 待った。  そして1月4日発売の週刊ポスト(1月14・21日号)を読んで物足り なさを感じた。  確かに日米同盟や官僚支配についての発言部分はある。しかし私の質問に 直接答えたものではなかった。  この間週刊ポスト編集部からはインタビューがどのように行なわれて、 週刊ポストに出る原稿がどのようなものになるかという報告は一切なかった。 私のほうからも敢て聞くことはしなかった。  ところが週刊ポストの後半を見て、私はどうしても週刊ポスト編集部に 聞いておかざるを得ないと思った。  私の質問が実際に小沢一郎に渡辺乾介氏を通じて投げかけられたのか。 その時の返答はどんなものであったのか。記事にできる事と出来ない事が あったのか、などなどである。  これを聞いて読者へ知らせる事が読者に対するお礼と仁義であると思った からだ。読者の中には私と同様、週刊ポストのインタビュー記事を読んで 物足りなさを感じた人もいたに違いないと思ったからだ。  私は週刊ポスト編集部宛にメールで問い質した。  すかさず週刊ポストの編集責任者から電話で返答が来た。インタビューに 実際に立ち会った責任者であるという。  その責任者が説明した事はおおむね次の通りであった。  まずインタビューが終わった後の結果報告がなされなかった非礼を詫びた 上で、結論から言えば時間が足りなくなって私の質問を聞くところまでいか なかったこと、そしてそのかわりに、インタビューの最後に、ほかにもこの ような質問が寄せられているので目を通してほしい、できれば後日書面にて 返答をいただければありがたい、と言って私の質問状を手渡したこと、 そしてこれに対して小沢一郎は読ませていただくと言って受け取ったが、返答 は勘弁してくれということだった、などの説明がなされた。  そして、以上がインタビューに立ち会った者としての正確な状況説明であり、 私以外にも質問状づくりに協力してもらったがその質問状を活用できなかった 人は何人かいる、人によって優先順序をつけたり、質問が不適だから除外した などという配慮は一切ない。単純な時間調整の杜撰さで、すべての質問を聞く ことができなかった、その責任はすべて編集部にある、というものであった。  私は、この編集責任者の言葉を額面通り受け止めたいと思うが、仮にそうで なくとも、私は了解したいと思っている(これ以上注文をつける権利は私には ない)。  それに、渡辺乾介氏のインタビュー記事後半を読んで改めて私は感じた。  小沢氏は「アメリカは最大の同盟国であって、日本にとって最も大事な国で あることは間違いない」といい、「アメリカを除外しては世界の平和、秩序が 成り立たない」と言っている。 「本はアメリカの飼い犬ではなくて、本当にたよりになる友人、パートナーに ならなくてはいけない、というのが僕の持論なんですよ」と言っている。  これは私の考えとは違う。  しかしいやしくも日本の総理を目指そうとする者が日米同盟に反対するとは 言えない。今それを言うべきではない。  少なくともこれまでの自民党政権やそれ菅民主党政権のように、官僚の言い なりになって日米同盟を絶対視する姿勢ではない。対米従属に終始する姿勢で はない。  小沢一郎には是非日本の首相になってその対米政策を国民の前に示してもら いたいと思う。  私の小沢一郎の対米外交に関する評価はその時だ。  そのためにも小沢一郎に総理になってもらいたいと願うばかりだ。                                                                     了

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