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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

小沢問題の本質を突く三井環氏の「けもの道」告発
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年1月3日発行 第3号 ■       ===============================================================   小沢問題の本質を突く三井環氏の「けもの道」告発     ===============================================================  正月休みが明けると再びメディアは小沢問題に終始するだろう。小沢 たたきを始めるだろう。  その前に私の小沢問題についての見方を書いて置く。  検察の本当の問題は決して検察の杜撰な捜査ではない。検察が権力と 取引をしていることである。  小沢問題の核心は決して小沢の金の問題ではない。  いやしくも政治家が金の問題で疑惑を持たれた時、政治家が等しく法の 下に公平に扱われているかどうかの問題である。  この二つの問題の欺瞞を見事に告発しているのが三井環元大阪高検公安 部長である。  三井環氏と言えば検察の裏金問題を告発しようとして逮捕され、実刑を 受けた人物として知られている。  しかし三井氏の告発の最も重大なところは、決して裏金そのものではない。  裏金問題を隠蔽する為に検察最高幹部が権力と取引した事の告発である。  三井氏は、それを政治と検察が「けもの道」に踏み込んだ、という表現で 糾弾する。  不当な実刑に服した三井氏は刑期を終えて再出発した。もう失うものは ない。怖いものはない。  だから三井氏の言葉には凄みがあるのだ。その言葉にウソはない。  権力と手を結んだ大手新聞やメディアは、決して三井氏に光を当てない。 三井氏の発言を報じない。  しかし、情報化の進んだ今、三井氏の発言を隠すことはできない。  月刊「マスコミ市民」1月号に、三井氏とマスコミ市民フォーラム理事長 である川崎泰資氏(元NHK政治部記者)との新年対談が掲載されていた。  そこで三井氏は衝撃的な発言をしている。  野中広務元自民党幹事長が、自分(三井氏)が語った検察の裏金問題を 利用して検察をおどかし、自らに降りかかった日本歯科医師連盟の政治献金 不正疑惑をもみ消したのではないか、と次のように話している。  すなわち三井氏は裏金問題で逮捕される直前の2002年3月下旬に、裏金 問題の話が聞きたい、といって野中氏に呼び出されたという。  孤立無援であった当時の三井氏は、自民党の有力者であれば助けてもらえる かもしれないと思って裏金問題のすべてを話したという。  裏金問題をもみ消すために検察首脳が小泉政権と取引した事を話したという。  その後、野中氏は三井氏のために動かなかった。  それどころかその話を武器に検察と取引したのではないか、と三井氏は次の ように語っている。  「・・・野中氏が検察の弱みである裏金問題というカードを武器に検察を 牽制したと考えられます・・・」  三井氏の言う「検察と自民党の取引の話」とはこうだ。  「・・・(私が裏金を告発した平成13年10月末)当時の原田明夫検事 総長と松尾邦弘法務事務次官、古田佑紀法務相刑事局長が後藤田正晴氏の 事務所を訪ねて、『(裏ガネ問題が露見すると)検察がつぶれてしまいます』 と泣きを入れました。そこで小泉政権と検察との間で大きな貸し借りがつくら れます。これが『けもの道』と言われるものです。結局、裏金づくりの刑事 告発に対し、『嫌疑なし』とされ、後に原田検事総長が記者会見を開いて 『事実無根、存在しない』と大嘘をつきました。森山真弓法務大臣(当時)も 同様です。  その事は民主党政権になった現在にいたってもひた隠しされています・・・」  日歯連事件では、本来罪に問われるべき橋本龍太郎首相、野中自民党幹事長、 青木自民党参院幹事長(いずれも当時)が問われず、現場に立ち会っていな かった村岡謙造官房長官が有罪になった。  この事がいかに不自然で、不当であることか。誰もが思うところである。  村岡氏の無念の涙がそれを物語っている。  起訴猶予処分となった野中氏は、仙谷官房長官の後ろ盾となって、小沢一郎 の政治と金の問題を誰よりも厳しく追及している。  正月休みが明け、報道は再び小沢一郎の政治と金の問題ばかりを取り上げる だろう。小沢たたきを繰り返すだろう。  国民は、「うんざりだ、いいかげんにしろ」、と思うだろう。メディアも そう繰り返すだろう。  しかし私の考えは違う。  小沢問題は単なる政治家の政治と金の話ではない。  菅首相が新年早々に決意表明したような、国民のためのクリーンな政治の 実現という話ではない。  政局のかかった権力闘争である。  しかも単なる民主党内の主導権争いではない。  これからの日本の政治のあり方を決める与野党を巻き込んだ一大政争 なのだ。  2009年に起きた政権交代は、戦後一貫して続いた自民党支配を終焉 させた。  自民党支配の終焉は、同時にまた、その自民党政権の下で日本を支配して きた政財官とその後ろにある米国の日本支配に変化が起きる可能性を秘めた ものであった。  その「可能性」とは、政官財支配と米国支配に苦しめられてきた者に とっては「期待」であるが、特権、恩恵を受けてきた者たちにとっては、阻止 すべき「懸念」である。  下手をすると旧政権下の悪事がばらされる事になる。  当然のことながら、アンシャンレジーム(旧体制)との間の攻防が起きる。  もし民主党の政治家たちが、そしてとりわけ民主党の指導者達が、自民党 支配に対するアンチテーゼで一致団結していたなら、この攻防は国民の目に はっきりと分かったに違いない。  アンシャンレジームは一掃された可能性はあった。  しかし現実はそうならなかった。  民主党の指導的政治家の中には自民党的な政治家が多数含まれている。  それに加えて、政権を取った民主党指導者の中には、私欲に負けた指導者が 出て来た。  彼らが政権を握り続けたいがために変身し、アンシャンレジームと手を 組んだのだ。  小沢問題はまさしくそのような中で起こり、進展して行ったのである。  うんざりどころの話ではない。 小沢一郎なるものと菅・仙谷なるものとの戦いは中途半端な形で終わっては ならないのだ。行き着くところまで行かねばならないのだ。  「けもの道」は民主党政権になっても続いているのだ。  それを発信し続ける三井環元大阪高検公安部長は、小沢問題の本質を国民 に知らせるカナリアであると私は思っている。                               了

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