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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

2011年の元旦に島木健作を思う
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年 元旦 発行 第1号 ■       ===============================================================    2011年の元旦に島木健作を思う     ===============================================================  明けましておめでとうございます。  読者の皆様におかれましては本年が良い年となるように祈念します。  私も、今年一年、一日も欠かす事なく書き続けられるように願って、 今年最初のメールマガジンを配信します。  私のメルマガが途切れたら、それは私の身に何かが起きた時か、 コンピューターに不都合が起きて配信できなくなったか、そのいずれか であると思って、今年一年おつきあいいただければ幸いです。  私は年初に、この一年間書き続けられるかどうか自問して、その覚悟が 出来た上でその年のメルマガの配信を始める事にしました。  来年の事は分かりませんが、今年一年は書き続ける決心をしました。 よろしくお付合い下さい。  さて、その第一号に何を書くか。  考えた末に私の好きな作家である島木健作に寄せる母の愛の光景に ついて書く事にしました。  せめて元旦ぐらいは、権力との闘いをやめて、心の安らぎを語りたいと 思ったからです。  元旦は私とともに次の文章を共有していただければ幸いです。  これは昨年のサンデー毎日12月12日号で、ノンフィクション作家の 保阪正康氏の連載「昭和史の大河を往く」の掲載で見つけた文章です。  「高見順が向き合った昭和20年8月17日の島木健作の死」の中の一節 です。  私は決して読書家ではありませんが、その私が偶然手にした「赤蛙」に よって、私は島木健作という作家にめぐり合いました。学生の頃の事です。  私が生まれる二年ほど前にこの世を去った島木健作は、以来私の心の よりどころとなりました。  その島木健作の最期の光景を、このサンデー毎日ではじめて知りました。  高見順より三歳年上の島木健作の危篤を、高見は川端康成からの電話で 知ります。  「大急ぎでご飯を食べて、鎌倉の病院(鎌倉養生園)へ駆けつけた。ヒゲ をぼうぼうと生やして寝台に横たわった島木君はすでに意識がなかった。眼 は開いて、規則的に息をしている。哲人のような立派な顔だった・・・」  島木の危篤の報に接してなおご飯を食べる余裕のあるところがなんとも ユーモアを感じさせる高見ですが、その高見が日記に記した島木の母の姿 は感動的です。  「お母さんが杖にすがり、家の人にたすけられてやって来た。腰が曲がり かけた小さなお母さんだった。島木君の顔の近くに顔をやって『わかるかい、 わかるかい』と言った。私はそっと病室を出た。小林秀雄が来た。(中略) 病室をのぞくとお母さんがしきりに島木君の胸をさすっていた。『母親は いいものだ。ああして島木の苦しみを少しでもやわらげようと一生懸命だ』 と中山義秀がしみじみと言った・・・」  この世の中に無上の愛というものがあるとすれば、母親の愛こそ間違いなく その一つであると思います。  若い特攻隊が最期に語った言葉が、お母さん、だったといいます。  戦争は何があってもしてはいけない。させてはいけない。  母親を悲しませてはいけない。  今年一年、くじけそうになった時は、母親の無上の愛に思いを馳せて、心を 優しくして自分を取り戻そうと思っています。  平和な日本を願って、そんな日本になるように訴え続けて行きます。  明日からはまた通常のメルマガに戻って書き始めます。  今年一年、ともに強く、正しく、一日一日を歩んで行きたいと、年のはじめ にそう思います。                             了

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