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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

今こそ尖閣問題の政治決着を究明すべきである
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2010年12月22日発行 第269号 ■       ===============================================================    今こそ尖閣問題の政治決着を究明すべきである     ===============================================================  海上保安庁が21日、尖閣ビデオを流出させた海上保安官(43)を 停職処分する事を決めたという。厳しい処分である。  報道によれば保安官はすでに辞職の意向を示しており、処分を受けずに 退職するとみられるという。  尖閣ビデオ流出の直後から、私がこの保安官に関して抱いてきた印象は、 軽率な事をしたな、という事だった。  時の権力者、仙谷官房長官を怒らせるような行為をするには、よほどの 事情があると考えるのが自然だ。  何らかの政治的背景があるかもしれないと普通は思う。  しかしその後の経緯を見ると彼の背後には何もなさそうだ。  事件発覚当時はクーデターなどと言う物騒な言葉も飛び出した。  しかし彼の背後に右翼的な組織がある気配はない。  大手新聞は報じなかったが一部週刊誌に掲載されていた彼の手記を読んだ 時、私の目に留まったのは、家族に迷惑をかける事を詫びていた事である。  彼は職を失う覚悟で尖閣ビデオを流出させたのだ。  なぜそこまでして尖閣ビデオを流出させたのか。  これも彼の言葉を額面通り受け止めれば、このまま真実が闇に葬られ、国民 が何も知らないままに権力の不正が見過ごされることは許せない、というもの だった。  私はその言葉を素直に受け止めたい。  この保安官を英雄扱いするつもりはない。国家公務員法に基づいて正当に 処罰されることに反対しない。  彼自身、それを覚悟の上でやったと言っているのだから、彼も同情は不要だ と思うだろう。  ここで私が言いたいことは、彼が職をかけて果たそうとした事を、誰かが 代わって行なわなければいけないということだ。  軽率なやり方で討ち死にした保安官の無念を果たしてやるということだ。  それは何か。  菅・仙谷が国民にウソをついてまで行なった尖閣問題の政治決着を菅・仙谷 に認めさせることだ。  国民の誰もがウソをついていると思っている。  沖縄地検の一存で船長の釈放ができる筈はない。  尖閣ビデオの未公開にあれほどこだわった菅・仙谷政権には中国側との裏 取引があったと、誰もが疑っている。  それにも関わらず、この問題はウヤムヤに終わってしまった。  今回の保安官の処罰が終わった時点で完全に尖閣問題は闇に葬られる事に なるだろう。それが菅・仙谷の思惑だ。  それを許してはいけないと言っているのである。  前置きが長くなった。これからが私の言いたい事である。  12月21日の東京新聞に清水美和のアジア観望というコラムを見つけた。 そこには、尖閣「秘密外交」の内幕、と題して一冊の本が紹介されていた。  経営コンサルタント篠原令氏の著書「中国を知るために」(日本僑報社)と いう本である。  そこに秘密外交のすべてが書かれているというのだ。  学生運動時代から仙谷官房長官と旧知の間柄の篠原氏が、細野豪志の政府 特使訪中をお膳立てし、そこでビデオを公開せず、中国非難を控える、これと 引き換えに建設会社員4人の解放と首脳会談を実現する、この約束をしたと いうのだ。  詳細は東京新聞を参照願いたい。  その記事は次のように書いている。  「首相官邸が関与を否定し、細野氏も内容を明かさない『秘密外交』を、 当事者が日もたたないうちに語るのは珍しい」、と。  そしてその記事を次の言葉で締めくくっている。  「当事者である篠原氏の発言は重い。秘密外交に関与を否定する仙谷長官、 批判を受けた外務省は真相を明らかにし、国民に評価を求めるべきではないか」  その通りだと思う。  国会が閉幕したから追及できないということはない。  年末の休みに入ったからすべてが見過ごされるということにはならない。  閉会中質疑によって政治は国民に真実を知らせる義務がある。  軽率な保安官の行為ではあったが、少なくともその無念を晴らしてやりたい と思う。  事は日中外交の本質に関わることである。  政権が吹っ飛ぶほどの菅・仙谷のウソである。  その責任を権力者にも取ってもらわなくてはならないのである。                              了       

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