□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2010年12月15日発行 第261号 ■ =============================================================== 空自官製談合を報じるメディアの欺瞞 =============================================================== これほど見事な官製談合はないだろう。 防衛省は12月14日、05年度から08年度に成約した事務用品発注 311件、約75億6千万円のすべてが、官製談合であったと発表した というのだ。 すべてが官製談合であると防衛省自身が言及する。 ここまで来るともはや開き直りの如くだ。 一体これまでどれほどの防衛省(庁)の談合が報じられたことだろう。 そのつど大騒ぎをし、二度とあってはならない、と謝罪して見せて、形 ばかりの処罰をして幕引きする。 今度の場合も同じ事の繰り返しである。 しかし私が問題にしたいのは、これを報じる大手メディアの欺瞞だ。 防衛省の発表を繰り返すだけで、それ以上の事を書かない。 独自調査を行なって、防衛省の官製談合の深さと広がりを追及しようと しない。 そればかりか、「外園健一朗航空幕僚長が引責退任する」、という防衛省 の発表をそのまま一斉に報じている。 これほどの官製談合だ。引責退任ではすまされない組織犯罪ではないのか。 組織の要職を歩いてきた外薗健一郎航空幕僚長が、それを知っていなかった、 などと誰が信じるだろう。 メディアは今度の官製談合の重大性、深刻性について一切書かない。 それどころかウソを書いている。 メディアは、「外園航空幕僚長はその責任をとって退任する予定である」、 と、防衛省の発表をそのまま書いている。 しかし外薗氏の退任は決して引責退任ではない。任期を満了した通常の 人事異動である。 因みに調べてみた。 外薗健一朗航空幕僚長は、あの田母神俊雄航空幕僚長が更迭された後 を受けて2008年11月に就任している。 そして航空幕僚長の通例の任期である2年を見事にまっとうしている。 今度の官製談合が明るみに出ようが、出まいが、順送りの人事で退任 せざるをえなかったのだ。 その後任人事である岩崎茂航空総司令官の幕僚長就任も予定調和の人事 である。 見ているがいい。外薗航空幕僚長は高額の退職金を手にした上で、見事に 天下るにちがいない。 たとえそれが談合先の企業でないにしても、莫大な装備予算で潤ってきた 企業に天下るに違いない。 メディアは、防衛省に嫌われて記者クラブを追い出されようとも、 そこまで調べて国民に報告しなければならないのである。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)