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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

岡田幹事長訪中延期について思うこと  
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2010年12月13日発行 第256号 ■       ===============================================================    岡田幹事長訪中延期について思うこと       ===============================================================  本日(12月13日)発売の週刊現代12月25日号に、「岡田幹事長 の訪中が突然延期になった本当の『理由』」という記事があった。  訪中延期についてはすでに12月7日の新聞各紙が報じていた。 しかしその背景についてここまで書いた記事はなかった。  その記事の要旨はこうだ。  「・・・またしても民主党外交が中国に敗北した。 12月17日から予定されていた岡田幹事長、山岡賢次副代表らによる 訪中計画が、急遽延期になった。  訪中日程を民主党が発表した直後の中国側からの延期要請である。 さぞかし岡田幹事長は面食らっただろう。  その一方で山口公明党代表は12月14日から4日間訪中する。胡錦涛 国家主席か習近平副主席との面会で調整が進められている。  この差の違いは程永華駐日中国大使とのパイプの太さの違いであるが もう一つの理由として民主党の牧野聖修議員がノーベル平和賞授賞式に 出席する意向を示したことが中国側の怒りを買った。その報復として中国 側が公明党とは会うが民主党には会わないという決定を下したようだ・・・」  もしこの記事に書かれていることが事実であるとすれば事は重大である。  民主党と公明党の面子争いなどという週刊誌のゴシップ記事で終わらせて はならない。  日中外交の根幹に関わる深刻な問題がそこにある。  民主党政権は日本の政権政党として毅然とした態度を示すべきである。  考えても見るがいい。  政府が派遣する代表団を延長しておきながら、野党党首の訪中を優先する という中国政府の対応は外交の常識では有り得ない。  週刊現代は面子丸つぶれなどと茶化しているが、そんな話ではない。  外交的にはこのような中国の外交は日本政府に対する敵対行為とも言える ほどの外交なのである。  それに対して民主党政権がなんらの反応を示さないとすれば、それは外交 の怠慢である。  公明党も公明党である。  自らのパイプの太さを宣伝することを優先し日本外交を毀損して平然と するのであれば、それは大きな間違いである。  いやしくとも公明党が日本の事を思う公党であれば、ここは与野党の立場 を超えて中国側に対し、政府の訪中を優先するように説得すべきなのだ。  私の記憶が正しければ確か程永華大使は創価大学出身である。  公明党がそのパイプを使って中国との関係を私物化するようでは、公明党 は私益を国益に優先する政党として国民から非難されても仕方がない。  もう一つの理由は中国が牧野聖修議員のノーベル平和賞授賞式に参加した 事に反発して報復したのではないか、という指摘だ。  これが事実であれば民主党政権は毅然とした態度を示さなければならない。  もちろん中国側は岡田幹事長らの訪中延期をノーベル平和賞授賞式出席への 報復だなどと言うはずはない。  しかし中国のノーベル平和賞授賞式への出席妨害外交は、明らかに間違った 外交である。傲慢外交である。  ここまで国際問題となっており国際的な批判もなされている。  民主党政権は、今回の訪中延期に対して抗議する意味でも、中国の人権活動 家の授賞式出席妨害を非難し、各国に対する授賞式参加妨害外交に対し遺憾の 意を表明すべきである。  本件に対する民主党政権の対応は国際的に見ても消極的だ。  だから次のような声が中国の民主活動家から語られるのだ。  「日本政府は欧米と比べ中国の民主化問題に関して基本的に冷たい・・・ 中国や北朝鮮など日本とトラブルを抱える独裁国家は近い将来、民主化される ことが予想される。アジアの大国としての責任だけではなく、日本の国益の ためにも、もっと人権や民主化運動に関心を持ってもらいたい・・・」(12 月11日読売)。  言わなくてもいい事を言って中国側をいたずらに刺激し、言うべき事を言わ ずに中国側をつけあがらせる。  これこそが民主党外交の駄目なところである。                            了

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