□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2010年12月12日発行 第255号 ■ =============================================================== 画龍点晴を書いたNHKの日米安保50年スペシャル =============================================================== 昨日(12月11日)の番組でNHKスペシャル日米安保50年の 4回連続番組が終わった。読者の皆さんはこの番組をご覧になっただろうか。 私の感想は、結論から言えば画龍点晴を欠いた番組に終わり残念だった、 というものだ。 3回までは良かった。日米安保が出来るまでの経緯とその欺瞞、変貌を わかりやすく説明する番組になっていた。 その番組に基づいて締めくくられるはずの第4回の討論番組は、当然の ことながら今後に日米安保をどうするかを正面から議論する、まさしくこの 特集番組の掉尾を飾る番組になって、特集を終わるべきものと期待された。 その結論はもちろん日米安保をなくす、という私の持論で終わる必要は ない。 日米軍事同盟は必要だ、という意見で終わってもいい。 議論が平行線で終わってもいい。 重要な事は、国民の前で、論点をごまかすことなく、浮き彫りにさせる ことである。 それがなかった。 その論点の最大のものは、全3回の番組で繰り返し明らかにされた、 「日米安保条約の条文の文字は一字一句変わっていないのに、ここまで その内容が変貌してしまった」、なぜだ。誰の責任か。その事について これからどうすべきか、という追及と議論だ。 ジャパンハンドの一人であるアーミテージが言っていた、「同盟とは自ら 血を流し、相手のために血を流す。そういう関係だ。ただそれだけだ」と いう言葉を正面から受けて、これからの日米関係はそれでいいのか、という 点を議論すべきだった。 出席者はその議論を避けた。というよりも司会者がそれを避けた。 何よりも出席者が悪かった。 寺島は例によって日米安保の是非について矛盾した発言を繰り返した。 染谷は次の御用学者を意識した発言を繰り返した。 田中に至ってはおよそ議論にならない暴言を繰り返した。それどころか 日米安保の正しい知識さえ持っていなかった。かつての同僚とはいえ、 このような外交官が日米安保の運営を行っていたとすれば驚きだ。 福山は外交無知をさらけ出した。こんな政治家が管政権の外交補佐官で あるから後は推して知るべしだ。 ただ一人正論を述べていたのが豊下だったが、その論点は無視された。 議論が続かなかった。 豊下の席に中野が座ったらどんなに面白かったことだろう。 この読者にはお伝えしたが、豊下の席には当初私に誘いがかかった。 しかし直前になって話はなかった事になった。 最初はNHKの配慮だったと思った。しかしひょっとしたら田中や寺島が 私を忌避したのかもしれないと思った。 私は出演したかったわけではない。しかし私が出演したらあの討論は 違ったものになっていた。 だから私は最終的に出席者になれなかったのだと思っている。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)