□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2010年12月4日発行第239号 ■ =============================================================== 日本人を差別する日本の首相 =============================================================== かつて私が米国に勤務していた時、日系米国人団体が日本政府に協力を 求めて来た事があった。 記憶が遠ざかってしまったが、確かワシントンに第二次大戦で米国の為に 戦って死んだ日系米人の追悼記念碑をつくるからその寄付を日本企業や日本 政府にもお願いしたい、という要望だったと思う。 米国は周知のとおりモザイク国家だ。多くの移民者達が米国内で政治的に 結束し、本国の支援も得て米国で権利を主張する。ロビー活動をする。それ が米国という国である。 米国政府もその碑の建立を許可している。何の問題もない合法的な行為だ。 しかし日本政府の反応は冷たかった。日本政府は協力をしなかった。邦人 企業に働きかける事もしなかった。 私はその時、日本大使館員としてではなく個人で、わずかばかりの寄付を したのでよく覚えている。 日本政府は日系米国人になぜこれほどまでに冷たいのか、とその時思った ものだ。 その疑問に対する答えをやっと見つけた。 ビジネス情報誌エルネオスの12月号巻末に編集者元木昌彦氏の「メディア を考える旅」という連載対談がある。 12月号の旅の同行者は映画監督のすずきじゅんいち(本名鈴木潤一)と いう人であった。 日系アメリカ人部隊「442」連隊を描いたドキュメンタリー映画を作った 人であるという。 その彼が元木氏との次のような会話を交わしている。 すずき ・・・ダニエル・イノウエという日系のアメリカ上院議員が以前、岸信介 総理に、日本に日系人の大使を送りたいと申し入れると、「あなたたち何言 ってるんだ。日系人と言うのは日本を捨てた人たちでしょ。みんな貧しい人 たちですね。それが大使なんて無理ですよ」と言われて、彼は今でもその事を 恨んでいます。自分たちのように海外に出た人間は日本人としては落第生だ と思われたのだと。 元木 それはすごい発言ですね。戦前までは海外移住を政府が奨励したわけじゃ ないですか・・・ 私は日本政府の対米従属外交の一つの理由がここに見事にあらわれていると 思う。 日本国民の生活よりも米国の国益に協力することを優先する。それは取りも なおさずこの国の首相と官僚たちが日本の一般国民を差別しているという事で はないのか。 国民を大切にできない指導者が動かす国が、国民にとって幸せな国になれる はずがない。 そう考えれば今日の日本の体たらくも頷ける気がする。残念で悲しい。 了
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