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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

稲盛和夫氏よ、晩節を汚すなかれ
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2010年11月19日発行第212号 ■       ===============================================================          稲盛和夫氏よ、晩節を汚すなかれ     ===============================================================  民主党が完全に行き詰まっている。稲盛和夫氏はいまどのような心境に あるのだろうかと思う。  11月11日の東京新聞に、京セラの稲盛和夫名誉会長が民主党の鳩山 前首相、小沢一郎元代表と10日夕に京都市内で会談した、という記事が あった。  それを読んでこの思いが頭をよぎった。  見出し一段の小さな記事であったが極めて大きな意味を持つ記事である。  そこで何が話されたかは知る由もない。  しかし察しはつく。民主党政権の将来について打開策は見つかったので あろうか。  自民党政権を支え続けるこの国の財界から孤立する形で、稲盛氏は民主党 を支持し、民主党政権の実現の最大の応援者であった。  政権交代を望んでいた私は、そんな稲盛氏に注目し蔭ながら声援を送った。  講演会にも出た。著書も読んだ。  西郷隆盛の、名声も地位も求めない者は扱いにくいが、そのような者でしか 大事を成し遂げる事はできない、という言葉を好んだ稲盛氏を私は敬愛した。  第二電電を立ち上げてこの国が独占する電気通信事業に参入しようとした時、 その動機は善か、私心はないか、と半年間自問したという話は感動的だ。  その稲盛氏は、対立する前原と岡田という二人の民主党政治家の双方の 支援者だという。  その民主党が事実上分裂し、いまではせっかくの政権交代も色あせて政権 維持さえ危うくなりつつある。  どうして稲盛氏は民主党がこのような状態になる事を黙って見ていたのか。  何もできなかったのだろうか。  思えば前原国交大臣(当時)がJAL再建に苦悶していた時、JALの会長を 引き受けた稲盛氏であった。  それは前原大臣に頼まれての苦渋の決断だったに違いない。  しかし私はその決断に懸念を抱いた。  JALの再建が重要でない、ということではない。  民主党政権が軌道に乗るまでは、民主党政権が一致団結して国民にための 政党になるように監視、助言、支援する。そのことに稲盛氏は全力をあげて 専念すべきだったのではないか。  小沢、前原の仲を取りもって、今のような分裂事態を避ける努力をすべきで なかったのか。  それが出来るのは稲盛氏をおいてはいなかったと思う。  稲盛氏が引き受けたJALの再建は先が見えないままだ。  それどころかここへきて気になる事がある。  会社更生法適用中のJALが計画している追加増資に、野村、大和証券と ならんで京セラが参加するという記事が11月11日の産経に流された。  京セラは今でも稲盛氏の影響下にある民間企業だ。この増資は正しいのか。 インサイダーとならないのか。  11月18日の各紙は、JALがさらなる再建のために12月15にも 経営陣を刷新する計画を発表したと報じた。  その報道によると京セラから人材をリクルートし新体制の役員につけると いう。稲盛体制を強化するという。  そのような人事が適切なのか。JAL再建が私物化して行なわれるという 批判を買わないか。それほどまでにJAL再建は困難だということなのか。  私は願うばかりだ。稲盛氏にはその晩節を汚してほしくない。                               了                              

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