□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2010年11月14日発行第200号 ■ =============================================================== 政策コンテストをべた褒めする朝日新聞 =============================================================== 国民の意見を取り入れて公開の場で予算を決めるという「政策コンテスト」 が11月10日からはじまり、3日間の予定を終えたという。 APEC首脳会議や尖閣ビデオ流出事件などのニュースにかき消されて、 ほとんど報じられる事はない。 しかし、それが事業仕分けの受け狙いで行なわれたおためごかしである事は 多くの新聞が指摘している。 たとえば、はじまったばかりの11月11日の東京新聞は、各省から出され た要求を大胆に組み替える事など期待薄、などと書いている。 それが終わった事を伝える11月14日の毎日新聞は、「政治主導」不発、 という見出しで、形骸化する可能性がある、と書いている。 ところがそんな政策コンテストを11月13日の朝日新聞が、その社説で べた褒めしているのを読んで驚いた。 「パフォーマンスに過ぎないといった批判も野党から出ているが、予算の 中枢部についての議論が公開される意義は小さくない」、と。 どこを見てそんな事が言えるのか。 そう思ったら、同じ13日の朝日が別のところで、思いやり予算は政策 コンテストから外された事を喜んで書いているのを知ってガテンがいった。 安住淳防衛副大臣が、「米国側から『政策コンテストにはなじまない』と 厳しい批判をあびた」ことを明らかにしたという。 それを受けて予算評価会議の議長である玄葉光一郎国家戦略相が、日米関係 の重要性から、「この場の議論にはなじまない」と言って外したという。 おまけに、その朝日の記事にはこんな事も書いてあった。 安住防衛副大臣が「思いやり予算を続け、維持していくことが日米同盟の あかしだ」と理解を求めたのに対し、評価会議のメンバーである平野達男 内閣府副大臣が「日米交渉の結果を踏まえて対応していただく」と応じた という。 ということは、米国の圧力に屈して増額が合意されればそれさえも認める ということだ。 もはやあからさまな米国の御用新聞のように成り果てた朝日新聞が政策 コンテストを評価するはずだ。 因みに、一般から寄せられた意見(パブリックコメント)では、「思いやり 予算」に関して寄せられた数は761件あったという。 そのうち「必要だ」という声が43・5%に対し、否定的な声は53% だったという(11月4日朝日)。 国民の声に反してまで「思いやり予算」を認めるとという事だ。 これのどこが「開かれた予算査定」なのか。馬鹿馬鹿しい。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)