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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

「首脳会談なんてなんぼのもんじゃ」、という話です
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2010年11月12日発行第196号 ■       ===============================================================          「首脳会談なんてなんぼのもんじゃ」、という話です     ===============================================================  尖閣問題や北方領土問題で騒がれた「首脳会談は実現するのか」であるが、 そもそも首脳会談にどれほどの意味があるのか、一般国民は考えた事がある だろうか。  もちろん、日ソ国交回復とか沖縄返還とか、歴史的意義のある重要な首脳 会談はある。  小泉訪朝時の金正日総書記との首脳会談も、その中身はどうであれ歴史的な 首脳会談だ。  今回もし日中、日露首脳会談が行なわれるとして、その場で領土問題に ついてのガチンコ応酬が首脳同士で行なわれるとすれば、それもまた意味の ある首脳会談だ。  しかし、たとえ今回日露、日中首脳会談が行なわれたとしても、そのような 会談にはならないだろう。社交儀礼的なものに終わるだろう。実現する事自体 が成功だ、という会談に終わる。  私の35年間の経験から断言できるのだが、およそ日本の首相が行なう最近 の首脳会談は、官僚がお膳立てした形式的なものである。  首脳同士が渡り合うような首脳会談にはならない、させない、のである。  お互いにいい事を言い合ってエールの交換をして終わるのである。  特に日米首脳会談はそうだ。  こちらの要求を言う事はない。相手を喜ばせる事ばかりを並べる。  そのネタ探しが官僚の仕事なのだ。  その証拠を最近の新聞報道から説明してみせよう。  なぜ菅首相がTPP参加を急いだのか。それは13日のオバマ大統領との 首脳会談で「参加する」と言いたかったからだと報じられた。  なぜ急にアフガンへ自衛隊の医務官を派遣する方針を固めたのか。それも また日米首脳会談で菅首相がオバマ大統領に伝えたいからだ(11月11日 朝日新聞ほか)。  11月11日の産経新聞は、日本が国際結婚における親権問題のルールを 定めたハーグ条約の加盟を検討しているという記事を掲載していた。  この聞きなれないハーグ条約の加盟をなぜ急ぐのか。それはオバマ大統領が 菅首相に求めてくるからだ、という。  すなわち離婚した日本人の母親が外国人の夫に無断で日本に連れ帰って くる事例が最近多発しているという。  米国人の夫がそれを拉致だと騒いで日米間の大きな問題になりつつあると いう。  北朝鮮の拉致問題で協力を求めるはずの米国に、子供を連れ帰る「拉致」 で責められる日本。  その事におののいて、北朝鮮の拉致問題を話さずに、子供を連れて帰る 日本妻の「拉致」の解決の為にハーグ条約に加盟を急ぎますと約束するのだ。  最近の首脳会談は、それに出席するわが国の首相のためのものだ。  それをお膳立てし、成功させて出世したい官僚が必死で動き回る会談だ。  日本国民にとっては何の利益ももたらさないものが殆どだ。  「首脳会談なんてなんぼのもんじゃ」と思ったほうがいい。                                 了  

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