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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

メディアの壮大な争点隠しが行なわれている
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2010年11月12日発行第195号 ■       ===============================================================          メディアの壮大な争点隠しが行なわれている     ===============================================================  これほど菅・仙谷民主党政権が追い込まれているというのに菅・仙谷 民主党政権は開き直っている。そしてそれが通用するかのごとくだ。  自民党をはじめとした野党があまりにも無力だからだ。  メディアが菅・仙谷民主党政権を追い込もうとしないからだ。  なによりもその背後に構えている米国が対米従属の菅・仙谷民主党政権を 支えているからだ。  しかし菅・仙谷民主党政権が続こうが倒れようが、真実は明らかにされ なければならない。  流出ビデオの犯人が名乗り出た今度の事件の最大のポイントは、9月始め に起きた中国漁船事件の全体像が一体何だったのかという事が明らかにされ ない中で起きたところにある。  混乱の責任が誰にあったのかという事が追及されないまま幕引きが行なわれ ようとしていた矢先に起きたことにある。  さぞかし菅・仙谷政権にとっては衝撃であったに違いない。  私は今回のビデオ流出問題を契機として、真実が明らかにされる事を望む。  私がここで言う「真実」とは、事件の真相が、中国漁船が一方的に衝突して 来た事、その事を菅・仙谷民主党政権が国民に隠そうとしていたのではないか、 という事だけを指すのではない。  右翼・愛国者はそのことばかりを問題にする。  ビデオを流出させた海上保安官の義憤もその事にあるかのようだ。  それはそれで重要なポイントだ。  私はいたずらに中国との関係を対決的に捉えて「中国撃つべし」とする 桜井よし子的な立場を取る者では決してない。  しかし、中国に非があるのに、日中首脳会談を実現させるために、あるいは 政権を手放したくないために、菅・仙谷民主党政権が中国に迎合しようとした のであれば問題である。  その責任は、漁船の船長を逮捕までしておきながら、中国の反発にひるんで 一転して不起訴処分にして釈放し、しかもその判断を検察のせいにしたという、 菅・仙谷民主党政権の卑劣さによって更に倍加する。  おまけに中国漁船は工作船であるとか、中国側の反撃によって海保の職員が 犠牲になったという情報まで流れている。銛で突かれたと石原東京都知事が 口走ったという。  それが事実であれば大変だ。それを知っていながら国民に隠蔽して中国側に 何も要求しないのであれば、民主党政権は責められるべきだ。  その一方でまったく逆の解説が流されている。  すなわち海保が中国漁船を逃げられないように追い込んだというのだ。  逃げられない漁船が切羽詰って衝突したのだという。  もしそれが事実なら事件はまったく様相を異にする。  いずれにしても事の真実をはっきりさせるためにもビデオ映像はすべて 国民の前に明らかにされるべきなのだ。  今度のビデオ流出事件が最終的にビデオの全面公開につながる事を願う。  全面公開とは流出した四十何分のビデオだけではない。  事件の発覚から船長逮捕までの一部始終を示すビデオの全貌である。  ビデオ公開を出来ない理由は何か。  それを行なえば中国が硬化してますます日中関係が悪くなる、という説明 がある。  そう明言するものは誰もいないが、なんとなくそうだという事になっている。  しかし私は11月10日の国会答弁を聞いていて驚いた。  中国側がビデオの公開を要求しているというのだ。  中途半端なビデオを公開されて中国側が悪者になってはたまらない、公開 するなら作為的に編集したものではなくすべてを公開して欲しいと中国側が 言っているというのだ。  こんなことは私も知らなかった。  大手各紙を毎日読んでいる私が見落としたのかも知れない。気づかなかった。  もし中国側がそう言っているのであれば、ビデオの全貌を公開しない理由は 別のところにあるということだ。  こう考えていくと今回の尖閣沖漁船衝突事件は謎だらけだ。  国会質問を聞いていて、もう一つ重要な事に気づいた。  それは海上保安庁長官が、中国や台湾の漁船が、しかも多数の漁船が、 長年にわたって領海侵犯をしてきた事を認めたことだ。  領海侵犯の中国、台湾の漁船を知っていながらこれまでは逮捕しようとせず 追い返して済ませてきたという事実を認めたことだ。  これは領有権問題を棚上げにして、漁業操業を黙認してきやという事では ないか。  それがなぜ今回に限って逮捕・起訴となったのか。  それは前原国交相(当時)の対中強硬姿勢の表れだという説もあるが、海上 保安庁長官の答弁では、今回は中国側が公務執行妨害の挙に出たからだという。  そうであれば尚の事、ビデオは公開されなければならない。  海上保安官のビデオ流出事件は、その本来の意図がどこにあったとしても、 情報公開や国民の知る権利の観点からは、歓迎されることなのだ。  責任を問われるのは、ビデオ公開を頑なに拒み続けてきた菅・仙谷民主党 政権の政策判断なのだ。  メディアはそこのところを追及しようとしない。  メディアが報道するのは、本当にこの海保職員の仕業なのかだとか、流出 経路はどうだったのかだとか、国家機密漏洩防止の対策強化策などといった ことばかりだ。  しかし、そんな事はすぐわかる話だ。  海保職員がすでに認めている。すべては自分がやったと。処罰を覚悟で やったと。国民の知る権利を奪ってはならないと。  はやく調べてしかるべき処罰をすればいいだけの話だ。  重要な事は菅・仙谷に真実をしゃべらせる事だ。  真実をしゃべる事が出来ないのならその理由を問いただす事だ。  それでも真実を語れないのであれば責任を取って引責辞任を迫ることだ。  しかしメディアはそれをしない。対米従属のメディアは、むしろ対米従属の 菅・仙谷民主党政権を守ろうとしているかの如くだ。  中国撃つべしという右翼を嫌う左翼は、彼らが求める菅・仙谷民主党政権の 退陣に賛成しない。  自民党復活を恐れる反自民党の者たちは、菅・仙谷民主党を追い込んで 自民党を利するような事はしない。  私はそのいずれでもない。  今の私にとっては菅・仙谷・前原民主党政権は最悪である。  その後にどのような政治的混乱が起きようとも菅・仙谷・前原政権よりは ましだと思っている。  既存権力のすべてを一度叩き潰して、本当の国民政権をつくらなければ 弱者の国民は救われない。  このままでは対米従属者達が結託した政官財の支配が続く事になる。  なんとしてもそれを打ち崩さないといけない。  今度のビデオ流出事件をそのきっかけにしなければならないと思っている。                               了

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