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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

他国の領土権を公然と侵害しても非難されない国がある。
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2010年11月11日発行第192号 ■       ===============================================================           他国の領土権を公然と侵害しても非難されない国がある。     ===============================================================    尖閣問題と言い、北方領土問題と言い、なぜこれほどまでに大きな問題と なるのか。  それは主権国家であれば領土権の侵害はどうしても譲れないからだ。  これだけは与野党が一致している。  天下の日本共産党でさえも領土問題では自民党顔負けの主張を展開している。  「領土問題は血が騒ぐ」と志位和夫委員長が述べたという。右翼が共感して 街宣車で叫ぶことを止めたと冗談めいてささやかれる始末だ(11月9日毎日 新聞「壁耳」)。  政治がこれだからメディアはもっと強硬だ。  そのメディアに影響され世論も領土問題では強硬論一色だ。  私の周りでも断固たる姿勢を示すべきだという意見ばかりだ。  家人までもが興奮気味にそう私に語る始末だ。    領土問題について権利を主張する事自体を私はとやかく言うつもりは無い。  おそらく古今東西、領土権争いはそれほど譲れないものなのかも知れない。  ここからが今日のメルマガの主題である。  しかし、この地球上には、絶対に譲れない主権国家の領土権を平然と侵害 して、なお非難されない国がある。  この地球上には、絶対に譲れない自国の領土権を守ろうと抵抗すれば、たち どころに武力で排除されて泣き寝入りせざるを得ない国がある。  それがイスラエルでありパレスチナなのだ。  11月10日の朝日新聞にイスラエルがパレスチナに入植地を建設し続けて いるという記事が掲載されていた。  パレスチナがいくら反発しても、そして国連が入植は国際法違反だから止めろ といくら要求しても、イスラエルは一切耳を傾けない。  誰もイスラエルのパレスチナ入植を止められない。  オバマ大統領も「和平交渉にとって有益ではない」と不快感を示してみせるが あきらめ顔だ。  クリントン国務長官に至っては「現在の行き詰まりを打破する魔法の公式は ない」と言って投げ出す始末だ。  なぜ入植が問題なのか。  それは相手国の領土に一方的に自国国民を居住させる事によって、自国民の 権利を守るという大義名分でその国の領土に主権を行使するからだ。  事実上の占領である。  これほど悪質な領土権の侵害であるにもかかわらずパレスチナがいくら抗議 してもその声は世界に届かない。  武力で抵抗すれば「テロ」の烙印を押され、容赦なく殺される。  これほどの不条理があるだろうか。  それが尖閣問題や北方問題とどう関係があるのかという声が聞こえてきそうだ。  関係は無い。  しかし尖閣問題や北方領土問題は対等な二国間のれっきとした外交問題だ。  それが決して両国の武力衝突につながるようなことのない贅沢な政治ゲーム である。  我々は恵まれているのだ。その事に気づかなければならない。  世の中には救いのない領土紛争がある。  絶対的強者と絶対的弱者との不正義な領土紛争が放置され続けている。  自らの領土問題に懸命になるのもいいが、その事に少しは思いを馳せてみろ と言っているのである。                               了

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