□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2010年10月23日発行第160号 ■ =============================================================== かつてこれほどの対米従属政権が日本にあっただろうか =============================================================== 10月23日の東京新聞の一面トップは、ついに民主党政権は「思いやり 予算」を来年以降も当面減額しない方針を決めた、というスクープ記事で あった。 おなじく23日の読売新聞は、武器輸出3原則を緩和する方針で民主党の 外交・安保調査会(中川正春会長)は一致したと報じている。 突如としてニュースに躍り出た環太平洋パートナーシップ(TPP)と言う 名の自由貿易協定。 日本の農業に与える打撃をめぐって国内が分裂し、民主党内部もまた分裂 して大問題となっている。 消費税増税の時と同じだ。 なぜ菅首相が突如そんな事を言い出したのか。 それは横浜で開かれる太平洋経済協力会議(APEC)の議長役を無事に 乗り切りたい菅首相が米国に配慮したためだという(10月23日朝日新聞)。 その米国のクリントン国務長官は、仙谷官房長官が「APECが吹っ飛ぶ」 といって中国漁船の船長を釈放したほど重要視したAPECに参加しないと あっさり言ってきた。 そのかわりハワイに前原外相を呼びつけて「日米同盟深化」の努力を命じ ようとしている。 思いやり予算の据え置きも、武器輸出三原則の緩和も、その時の前原外相の 手土産だ。 おそらく米国は普天間基地のたグアム移転の経費負担について、米国財政の 肩代わりをしろと日本側へ更なる大幅な負担増を迫ってくるだろう。 中国には強硬姿勢を貫いても米国の前では下僕同然の前原外相は、すべて 譲歩して帰ってくるだろう。 これほど酷い対米従属政権を私は知らない。 米国にまともに対応できる民主党議員は一人もいない。 米国はもはや自民党政権を捨て去って外交的には赤子のような民主党政権を 完全に支配下に置こうとしているごとくだ。 その米国のクリントン国務長官は、訪米中の中国の王毅国務院主任(閣僚級) とワシントンで会談し、米国の台湾に対する武器売却で一時冷却化した米中関係 の修復を話し合ったという(10月23日産経)。 菅・仙谷民主党政権の間に日本は大変な事になる。 中国と戦争する前に、米国によって食いつぶされてしまう。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)