□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2010年10月22日発行第158号 ■ =============================================================== 前原外相では日中関係は悪化する一方である =============================================================== アエラの密約スクープ記事についてメルマガを配信した直後にあらたな ニュースが三つ飛び込んできた。 その三つのニュースによってあらためて私の考えの正しさが証明された。 一つ目は中国に対する強硬発言を繰り返す前原外相を中国政府が批判した というニュースだ。 「連日、中国を攻撃するコメントを出し、外交当局者が口にすべきでない 極端な言葉を用いている」 これは中国外務省の次官補が21日の記者会見で述べた言葉である。 そしてこれに関しては中国が正しい。 外交責任者が相手国をここまで悪し様に言うのは、イスラエルとパレスチナ の間ぐらいだ。米国とイランの間ぐらいだ。 そしてそれらの関係は国際政治においてまともな関係ではない。 日本の外交首脳が中国を相手にここまで公然と非難する事は戦後の日中 外交史上はじめての事だ。外交の常識ではありえないことだ。 あの小泉首相でさえも決して中国を非難することはなかった。 私がもっと注目したニュースは、尖閣共同開発を中国側が求めてきたのに 日本側が即刻これを拒否したという10月22日の東京新聞の記事だ。 日中双方の関係筋によれば中国は外交ルートを通じ、尖閣諸島の領有権問題 を棚上げし、当面は日中関係改善を優先すべきだ、と主張したという。 そしてその先の抜本的解決策として共同開発を持ち出したという。 尖閣問題の現実的解決はこれしかない。むしろ打開策として日本側がそれを 提案すべきぐらいだ。 それにもかかわらず、よりによって即刻拒否とは驚きだ。 こんな事を主張するのは産経新聞くらいだ。 しかし前原外相は産経新聞とは違う。無責任な中国批判をして溜飲を下げれ ばいいという立場ではない。 日本国民の安全と経済的利益のために最善の方策を進めなければならない 立場にある。 外交ルートを通じた打診であるというから、即刻拒否したのは前原外相に 違いない。前原はとんでもない誤りをおかした。 そして極めつけは三番目のニュースだ。 10月22日の毎日新聞によれば、中国を訪問しているホルダー米司法長官 は21日北京で記者会見し、胡錦涛国家主席が来年1月に米国を訪問する見通し になったと明らかにしたという。 これは米国は中国との関係を当面は最重視していくという事だ。 因みに10月21日の日経新聞はクリントン米国務長官は11月に横浜で 開かれるAPEC外相会議の欠席する方向で検討していると報じている。 日本随一の米国通政治家であるとメディアが喧伝している前原外相が、実は 米国を何もわかっていないこと、米国に相手にされていないことがばれたのだ。 前原外相では日中関係はおろか日米関係もうまく行かない。 前原外相に外交を一任している菅・仙谷民主党政権の下で、日本外交はどん どんとその地位を失っていく。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)