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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

小沢の最後の切り札、それは裏金問題の解明である
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■  天木直人のメールマガジン2010年10月19日発行第154号 ■       ===============================================================             小沢の最後の切り札、それは裏金問題の解明である     ===============================================================  「この国の格差社会の本当に姿」という昨日のメールマガジンに対し読者 から多くの声が寄せられた。想定通りだった。  それほどこの国には格差という名の不正義が充満しているということだ。  なぜそんな事が放置され続けるのか。  それは国家権力の中枢が不正義まみれだからだ。  その国家権力の中枢と結託したこの国の大手メディアが世の中の不正義を 見過ごしているからだ。  私があえて国家権力の「中枢」と言い、そして「大手メディア」と言うのは、 国家権力の中にも、メディアの中にも、そうでない部分があるからだ。  しかしそれらは少数、弱者であり、排除されている。  だからそれらの声が正しく伝わらない。声をあげても聞こえない。  実は昨日のメルマガは、これから書く今日のメルマガの導入部分であった。  今日のメルマガで書きたい事は、まさしく今の日本で放置され続けている 不正義を正すにはどうすればいいか、という事である。  数あるこの国の不正義の中でも、最大の不正義はこの国の警察、検察、 裁判所の不正義であると私は思っている。  発売中の週刊朝日10月29日号に「検察の『裏ガネ』の闇」という特集 記事がある。  検察の裏ガネについてはこれまでにも既に色々書かれてきたが、これは 決定版である。その内容は驚愕である。  その記事の主人公は、三井環元大阪高検公安部長であり、それを書いた フリーランス記者の西岡研介氏である。  三井は検察の弱者である。西岡は大手メディアに相手にされない雑誌記者 である。  彼らがどんなに正しい事を言っても、書いても、それが日本を動かす事は ない。  がっちりと手を組んだそれぞれの分野の強者たちに弾き飛ばされるからだ。  善良な国民の多数もまた、三井や西岡よりも検察組織や大手メディアを 信じる強者なのだ。  だからどんなに不正義、不条理を訴えても世の中は変わらない。  それはあたかも無人ロボットを使ってアフガンを攻撃する米軍に自爆で抵抗 するしか術のないテロの構図である。  これほどの不正義、不条理はないというのに、何も変わらない。  米国の行為がどんなに非人道的、犯罪的であっても、それを止めさせること はできない。  なぜ沖縄住民がこれほどまでに反対している米軍基地を日本政府はなくす ことが出来ないのか。  なぜ政権交代が起きても天下りはなくならず、菅・仙谷民主党政権もまた 国民に嘘をつき続ける政権になってしまうのか。  今日の朝日新聞に山岸章・初代連合会長の言葉がのっていた。  「小沢は選挙で利用価値があるだけ」。そう言って、いまの連合会長である 古賀伸明に、菅民主党が危なくなったら他との連立を考えろ。政権を握って 公務員給与引き下げを認めさせるな、と主張する。  不条理だらけだ。  東京地裁は18日、小沢の強制起訴手続きの停止申し立てを却下した。  仙谷官房長官が言っていた通り、行政訴訟ではなく刑事訴訟の中で小沢の 白黒はつけられるべきであると門前払いをしたのだ。  いいじゃないか。小沢は、もはや引き下がることのできない訴訟に踏み込ん だのだ。そうである以上、たとえ行政訴訟に持ち込めなくとも、刑事訴訟で、 あるいは、10月19日の日刊ゲンダイが書いているような検察審査会に対 する国家賠償請求で、いや、あらゆる手段を使って、国民の目の前で法廷闘争 を行なうのだ。  そうする事によって小沢の政治生命は終わるかもしれない。  裁判はながびく。わざと長引かせるかもしれない。与野党は一斉に小沢を 批判する。メディアの小沢叩きは更に進み、国民の不支持が更に高まる。 何よりも国家権力を相手に全面的に戦う政治家が再び政治の表で活躍する事は 難しい。  しかしそれらを承知の上で小沢は訴訟に踏み切ったに違いない。  そうである以上小沢は自分の思いを遂げるために最後まで司法の場で戦う ほかは無い。  その思いとは何か。この国をもう一度正しい国に取り戻すことだ。正義が 実現できる国にすることだ。弱者が報われる国にすることだ。  もし小沢が本気でそう思っているのであれば、それを実現するためにこの国 の司法と戦えばいいのだ。  総理にならなくても日本を変える事は出来る。この国のいかさまな司法制度 を根底から叩き潰すことによってこの国は変えられる。  この国の司法制度の頂点にあるのがこの国の最高裁判所である。最高裁と いう名の不正義な司法官僚たちである。彼らこそが検察・警察を含めたこの国 の正義をほしいままにしているのだ。  司法制度と戦う小沢一郎の切り札が「裏ガネ」問題である。  警察の裏ガネは仙波敏郎によって明らかにされた。検察の裏ガネは三井環に よって明らかにされた。  そして最高裁の裏ガネは弁護士で元裁判官の生田暉雄氏によって告発され ている(「裁判が日本を変える」・日本評論社)。  その生田弁護士が手がけているのが、不正義の極みである「高知白バイ事件」 冤罪訴訟であるというのも象徴的だ。  警察・検察・最高裁の裏ガネはれっきとした犯罪である。  国家の最高権力者たちが「犯罪者」なのだ。  しかし彼らは最高の国家権力者たちであるからこそ許されている。  その「犯罪者」たちが国民を裁いている。小沢を裁こうとしているのだ。  小沢一郎は、いますぐ仙波敏郎、三井環、生田暉雄らを糾合すべきである。  そして西岡研介をはじめとしたフリージャーナリストたちを味方にして、 この国の国家権力の不正義と、法廷の内外で堂々と戦うのだ。  この国に革命が起きるとしたら、その法廷闘争で小沢が勝つことだ。  たとえ勝てなくとも、訴訟の過程で司法の不正義が明らかになる。  検察はおろか最高裁さえも解体しなければならなくなる。  小沢一郎にそういう自覚があるかどうかはわからない。  小沢一郎はそれができる政治家かどうか私は知らない。  たとえそうでなくとも、小沢一郎にはその役割を果たしてもらいたい。  自分の為ではなく、国民のために。不正義に苦しんでいる弱者のために。  私の中にある小沢問題は、そういう事なのである。                                                                     了                                                                                                            

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