□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2010年10月16日発行第149号 ■ =============================================================== 米国の御用新聞と化した朝日新聞 =============================================================== いまに始まったことではないが、朝日新聞の対米従属ぶりはここにきて目に 余るものがある。 その証拠の一つを10月16日の紙上にまた見つけた。 「記者有論」というコラムのなかで星浩編集委員がこう書いている。 アセアン(東南アジア諸国連合)のジャーナリスト6人と最近意見交換 をした時のやり取りであるという。 アセアンの記者たちを前に星浩はこう話したと自慢げに朝日新聞紙上に語っ ている。 これはアセアンの記者との意見交換の紹介であるとともに、朝日の読者に 対する説教であり、洗脳でもある。 「尖閣事件やノーベル平和賞の問題で日本国民は中国との体制の違いを実感 した。日本は米国やアセアンと連携して中国と向かい合う必要がある」、と。 これに対してアセアンの記者の一人がつぶやいたという。 「アセアンが面と向かって中国を批判するのは難しいのです」、と。 星浩は卑劣な記者だ。 こういうアセアン側からの記者の言葉をさりげなく引用し、アセアンまでも がここまで中国を恐れているという事を言おうとしている。 このアセアン記者の発言は嘘ではないだろう。アセアンにとって中国は脅威 である。 しかし星浩はあえて書かないが、このアセアン記者の発言の裏にある アセアン諸国の本心は、決して中国の脅威をおそれ、中国の傲慢さを批判して いるのではない。 アセアンの本心はこうだ。 アセアンの将来にとって米国も中国も強大で脅威だが、それらとの協力関係 はともに必要だ。その一方に与して他方と敵対する事は出来ない。米国と中国が 対立するのではなく協力してアセアンの発展のために手を差し伸べて欲しい、 この事はアセアンがあらゆる機会に述べている事だ。それを星浩が知らない はずはない。 星浩がアセアンの記者に伝えるべきは、そして日本国民に対して訴える事は 次の事なのである。 米国と中国はお互いに軍事的警戒心を捨て、アセアンに対する覇権主義を捨て、 アセアンの発展のために協力すべきだ。 その事を日本はアセアン諸国と一緒になって米国、中国に求めていく。 日本はアセアンとともにある、 これである。 これこそがアセアンが昔から一貫して日本に求めてきた事だ。 日本のアセアン外交が、いくら経済協力をばらまいてアセアンの心を掴めない のは、そのアセアンの期待を裏切り続け、対米従属に終始してきたからだ。 そのような間違った対米従属外交を、いま朝日新聞が社をあげて振りまいて いる。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)