□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン 2010年9月25日発行 第110号 ■ =============================================================== 「日米関係を米英関係のように」と唱える者たちへ =============================================================== 日米軍事同盟を最優先する官僚、御用学者、メディア関係者たちが決まって 唱える言葉に、「日米関係を米英関係のようにせよ」というのがある。 このような主張が、如何に底の浅い考えであるか。それを明らかにして くれる記事を最近のメディアから紹介したい。 9月20日の毎日新聞はロンドン発として英政府が財政再建か安全保障かの ジレンマにぶつかっているという記事を配信していた。 すなわちキャメロン連立政権下では、核兵器は「聖域」だとして国防省予算の 例外を求めるフォックス国防相に対し、オズボーン財務相は巨額の財政赤字削減 を優先し国防予算の抑制を迫っているという。 これに関連し、週刊ニューズウィーク誌日本語版9月29日号に、英国の軍事 費削減に米国政府がやきもきしている、という要旨次のような記事が掲載されて いた。 ・・・自由主義陣営の軍事同盟である北大西洋条約機構(NATO)の中で、 イギリスほど部隊派遣の能力もやる気もある米国の同盟国はない。その英国が 将来の紛争における英国の役割後退を本気で検討せざるをえなくなった。オバマ 政権は今のところ静観しているが、最終決定の段階になれば横槍を入れてくる だろうと、英政府関係者は見ている・・・。 日本の識者がうらやましく思う米英関係でさえこのようなジレンマがあるのだ。 ここで私は三つ目の記事を思い出す。それは今年3月29日に各紙が報じて いた記事だ。 すなわち英下院外交委員会は3月28日、英米関係に関する報告書を公表し、 その中で「英国は米国の従順なプードル犬との認識が海外にも広がったことは、 英国の評価と国益を大きく傷つけた」、「英国が米国を常に敬う必要はなく、 ノーと言うことを厭うべきではない」、などと勧告した、という記事である。 英米の「特別な関係」という言葉は、チャーチル元首相が1946年に「鉄の カーテン」演説で登場させて以来、アングロ・サクソンの両国関係を重視する 言葉として使われてきた。 それから65年が経ち、国際情勢は様変わりした。 アングロサクソンで結ばれた英国でさえ、「英国は昔ほど米国に影響を与えら れない」(報告書をまとめたマイク・ゲイプス外交委員長)、と英米関係の維持 に苦悩し始めている。 アングロサクソンでもない日本が「日米関係を英米関係のようにする」という ことは、プードル犬以上に対米従属になるという事でしかない。 了 おしらせ 日経ビジネスオンラインでは9月29日より、日本の新しい防衛政策を考える 特集が始まり、様々な有識者の「新防衛計画の大綱私案」が連載されます。 その第一回に私の意見が掲載されます。 関心のある読者の為に、日経ビジネスオンラインの案内を以下の通り紹介して おきます。 記 日経ビジネスは雑誌とオンラインで成り立っています。 雑誌は定期購読制です。こちらからお申し込みいただけます。 http://business.nikkeibp.co.jp/nbs/nbo/base1/index.html?xadid=002 オンラインはこちらでお読みいただけます。 http://business.nikkeibp.co.jp/ 会員登録(無料)していただくことで、すべての記事をお読みいただけ ます。 http://business.nikkeibp.co.jp/info/reguser/ 〒108-8646 東京都港区白金1丁目17番3号 NBFプラチナタワー 日経BP社 日経ビジネス オンライン Tel:03-6811-8188 Fax:03-5421-9160 日経ビジネス オンライン:http://business.nikkeibp.co.jp/
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