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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

誘導記事の典型例を見つけたので紹介したい                   
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■  天木直人のメールマガジン 2010年9月18日発行 第100号 ■        ===============================================================         誘導記事の典型例を見つけたので紹介したい                                     ================================================================  新聞がはじめから終わりまで邪悪な情報操作に終始しているなどと考える のは勿論間違いだ。  自らと異なる論説を掲げるから気に食わないとボイコットしては自らが 教条主義に陥る愚をおかすことになる。  重要な事はそこに書かれている事が正しいのか。本当なのか。それを自分の 頭で考えて批判的に読む事だ。  そうすると見えてくる。いい記事もあればつまらない記事もあるということを。 そして巧みに読者を誘導しようとしているたちの悪い記事がある事を。  9月18日の産経新聞は、ワシントン発小川聡氏の「尖閣有事には安保適用  -米政府」という見出しの記事を配信していた。  その見出しだけを読んでやり過ごしてしまうと、てっきりその見出しの通り 米国政府が今回の日中対立で日本の味方をしてくれる、いざと言う時は日本を 中国から守ってくれる、と思い込むだろう。  ところがその記事をよく読むとこうだ。  クローリー国務次官補が14日に話した言葉は、「日中間の対話によって 平和的に解決される事を望む。ただ、日米同盟はアジアの安全保障と平和の ための礎石だ」と、日米同盟に言及したに過ぎない。  この、見出しの根拠になっているのは、そのクローリー国務次官補が、今回 の事件が起きるはるか前の8月16日に、記者会見で、「安保条約が尖閣諸島 に適用されるかと問われれば、答えはイエスだ」と述べた、その発言に過ぎない。  これは「日米安保条約は日本を守ってくれるのか」という日本側の懸念に 対する一般的な米側の返答であり、しかも今度の事件とは関係ないところで 述べた発言である。  それをあたかも今回の事件との関連で述べたような誤解を読者に与える巧み で危険な小川記者の誘導記事なのだ。  もっともこの記事は注意深く読めば誰でも気づく。さすがに嘘は書けないから 小川記者は過去の発言である事を明記せざるを得ない。  始末におえないのは要人の発言の一部分しか報道せずに、あたかもそれが 最重要の発言であったと報じる記事の場合である。  最近のその典型例が9月15日のアーミテージ発言である。  訪日中のアーミテージ元国務副長官は15日の夕、記者クラブで記者会見を した。それを報じる16日の各紙は中国漁船問題で、「中国は日本を試して いる」、と述べた事ばかりを書きたてた。  しかし長時間にわたるその記者会見では普天間問題について沖縄知事選挙の 結果では辺野古移転は困難になる、という趣旨の重大発言をしている。  米国も何が何でも辺野古移転にこだわっているわけではないのだ。  日米同盟に悪影響を及ぼさないように辺野古では譲歩するかもしれないと ほのめかしているのだ。  日本側が沖縄県民の声をもっと強く伝えれば解決できるかもしれない。  辺野古にこだわるのは、米国の機嫌を損ねてはいけないという日本の 政府、メディアの思い込みなのかも知れないのだ。  アーミテージの普天間発言を知ったのは、読者の一人が記者危険の模様を 伝えるユーチューブを添付して教えてくれたからだ。そうでなければ私は 知らないままだった。  おそらくこのような例は無数にあるだろう。報道されることは批判できる。 しかし報道されない事は知る由も無い。  限られた紙面でそのすべてを書けない制約はわかる。  書き手の判断で何を優先的に取り上げるかについて悪意はないかもしれない。  記者の不勉強のために何が重要であるかが正しく判断できなけのは、残念だが 仕方が無い。  しかしデスクの政治的配慮で情報選択が行なわれたらどうだろう。  我々と情報との戦いは一人ではとても出来ない。  みなの情報を持ち合わせて真実に近づく努力を続けるほかは無い。  このメルマガの試みもその一つである。                               了

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