□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン 2010年9月17日発行 第97号 ■ =============================================================== 民主党に党の綱領が無い事を国民は知っているか ================================================================ 今更ながら東京新聞「こちら特報部」の着眼点のよさに感心する。 菅直人代表が再選されて新しい政権政党として出発した9月15日。 その日に合わせた様に東京新聞「こちら特報部」は、民主党には党の綱領が ないという事実を国民に知らせた。 それは決して民主党叩きではない。 東京新聞は決して民主党に厳しいわけではない。 菅民主党政権が再出発をしたからこそ党の綱領をつくるべきだと助言している のである。 東京新聞のデスクも認めている。「恥ずかしながら民主党に綱領がないこと を最近知った」、と。 私も知らなかった。 民主党は1998年に結党以来今日までの12年間、政党の憲法ともいうべき 党綱領をただの一度も持たないというのだ。 その理由を知ってさらに驚く。 結党時の1998年に民主党の事務局長であり、今は政治アナリストである 伊藤敦夫氏は次のように当時を振り返る。 「民主党結党時は旧民主、民政、新党友愛、民主改革連合といろいろな考え を持った人がいた。分裂をするおそれがあり、議論を詰めることができなかった」と。 その後、民主党はさらに様々な政党が加わって今日に至っている。 共通の理念を欠く「寄り合い所帯」の色彩はさらに高まることになる。 野党時代ならそれも許されるかも知れない。政権政党を攻撃していれば よかったからである。 しかし政権をとって一年もたつというのに、その間一度も綱領作りを真剣に やってこなかった事には驚くばかりだ。 民主党ひいきと思われる学者はこう弁護する。選挙にマニフェストをいち早く 取り入れてきた民主党だからそれが綱領みたいなものだと。 もっともそんな学者であっても、さすがにマニフェストをここまであっさり 変えて恥じない民主党を見て、「マニフェストを修正するなら綱領を持つべき でしょう」などと言わざるを得ないのだ。 いみじくも今度の代表選挙で、小沢、菅という二人の候補者の目指す政治 理念や基本政策の方向が、まったく異なる事が浮きぼりにされた。 二人を支持する民主党議員の数が真っ二つに分かれた。 東京新聞のデスクが言っているように、どのように困難でも、今度こそ政党の 綱領を策定し、国民の前でその政治スタンスや主要政策について透明性を高める べきだ。 さもなければ有権者は次回の選挙で民主党を支持できるかどうかの判断が 出来ない。 東京新聞「こちら特報部」の優れた記事で、国民は民主党に党の憲法たる党 綱領が存在しない事を知った。 民主党はもはや政権政党として逃れられない。 党綱領は作るのか。作る事ができるのか。綱領を作らないのならその理由は 何なのか。 国民はそれが知りたいと思っている。 少なくとも次の国政選挙では民主党は党の綱領を掲げて国民の審判を堂々と 問うてもらいたいと思う。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)