□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン 2010年9月16日発行 第95号 ■ =============================================================== 為替介入した事を公表した野田財務相 ================================================================ これまで当然視されてきた事が、いつのまにか説明もなく変更される。 それが権力者の都合であっさりと行なわれる事がある。 そのご都合主義をメディアが黙認する事がある。 今回の円高為替介入もそうではないのか。 為替の事は政府の責任者は一切語らない事とされていた。少なくとも我々は そう聞かされてきた。 日銀は通貨の番人として政府から独立している存在だ。少なくともそう言われ てきた。 今回の為替介入実施の報道を見ていると、そのいずれもが嘘であることが証明 された。 9月16日の読売新聞「Q&A為替介入」の記事は、「財務省が決定、日銀 が実務」という見出しで財務省主導であった事を明らかにしている。 9月15日午前の記者会見で、野田財務省は、「先ほど為替介入を実施しま した」とわざわざ宣伝してみせた。こんな事はこれまで聞いた事はない。 菅政権は無策という批判をこれ以上あびせられてはかなわないとばかり、 代表選に勝ってすかざず為替介入をした事をわざわざ公表する必要があったのだ。 政府の為替介入を期待してきた財界は当然のようにそれを歓迎する。 財界の側に立つ経済記者もまたそれを容認する。 9月16日の朝日新聞の社説に至っては、「菅政権が意地を見せた」などと 今度の為替介入を評価している。 私にはわからない。専門家に教えてもらいたい。専門家はそれを国民に語って もらいたい。 為替介入の防衛ラインが1ドル=82円台であることを認めた(9月16日 毎日)仙谷官房長官は正しいのか。 円高といい、円安といい、双方にはメリットとデメリットがあるはずなのに、 円高だけが騒がれるのはなぜか。日本の経済構造がいつまで経っても輸出依存 であり、それは変わらない、ということではないのか。 それでいいのか。内需主導の経済構造への転換は日本はできないのか。 欧米との協調なしに単独介入することの効果はあるのか。投機筋との攻防で 勝てるのか。そのリスクを最後に負担するのは誰か。 なによりも、為替介入の裏でインサイダー取引は行なわれていないのか。 少なくともこれらに明瞭に答えてくれる記事は見当たらない。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)