□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン 2010年9月5日発行 第80号 ■ =============================================================== 許してはならない検察官僚の横暴 ================================================================ 少し前の事になるが海上保安庁のヘリコプターが墜落する事故があった。 その時、事故を起こしたヘリコプターはデモ飛行中であった事が後で明るみ になった。 それを隠避しようとした海上保安庁第6区管区の幹部の説明が二転三転し、 挙句の果てに、「デモ飛行と事故とは無関係であったので公表しなかった」 などという釈明まで飛び出した。 こんな責任逃れの官僚答弁を許してはならない。政治主導を掲げる民主党 政権なら幹部人事の更迭も辞さないという態度で臨まなければ嘘だ。 当時私はそう思った。 そうしたら9月3日になって海上保安庁は遅ればせながら当該幹部の更迭 人事を発表した。 これでこの問題の私の関心は終わったはずであった。 ところが、である。 9月6日の日刊ゲンダイは、デモ飛行を決めたのは海上保安庁第6管区が 岡山地検から司法修習生の巡視艇の体験航海の依頼を受けたからであったと 報じた。 こんな事は当時の大手新聞はまったく報じていない事である。 それが事実であれば責任の一旦は岡山地検にもあったということだ。 岡山地検が不要な体験航海を依頼しなければ事故が起こらなかったかも 知れないし、その責任を取って海上保安部幹部の更迭もなかったかもしれない からだ。 なぜ海上保安本部長は体験航海の事実を隠そうとしたのか。 それを日刊ゲンダイはこう書いている。 ・・・幹部が会見で「司法修習生に迷惑をかけない方がいいと思った」と 釈明しているから、隠すというよりも、検察に配慮したのだろう(事情通)と。 官僚には一流官僚と三流官僚があって三流官僚は一流官僚に頭が上がらない。 政治家もメディアも相手にするのは一流官庁であって三流官庁ではない。 その上、とくに検察官僚や財務官僚は、「正義」や「徴税」という絶対権力 を持っているから誰も機嫌を損ねるような真似はしない。できない。 それをいい事に検察官僚の権利の濫用や責任回避が許されているとしたら どうか。 その典型が「国策捜査」であり冤罪問題である。 小沢氏の「政治とカネ」の問題が国策捜査であり冤罪だという事の真偽に ついてはここでは書かない。 しかし、もっと明らかな検察の不当でありながら、メディアや国民の関心が 薄い事件がある。 それは厚生労働省の村木厚子元局長が逮捕された郵便不正事件である。 郵便割引制度を悪用する自称障害者団体に対し、偽の証明書発行を部下に 指示したとして虚偽有印公文書作成容疑で大阪地検に逮捕された事件だ。 9月5日の朝日新聞は判決を前に村木被告ら関係者に取材し、その事件を 振り返る記事を掲載していた。 その中で次のようなおどろくべき記述がある。 取調べが始まって10日目、担当検事が供述調書を持ってきて署名しろと 迫った時の事だ。 そこにはこれまで言ったことがない元上司や部下の悪口が書かれていた という。 「こんなものにサインできない」と断ると、検事は「私の作文でした」と あっさりとそれを認めたという。 更に又、村木被告が逮捕された決定的な理由としての部下の供述について である。 「偽装証明書の発行を村木局長から指示された」と供述した元担当係長は、 朝日新聞に対し次のように語ったという。 「検事から『支持されただろう』としつこく言われ、違うと伝えても無視 されて、検察がつくったストーリーから逃げられないと思った。村木さんに 申し訳ない気持ちで一杯だ」と。 このような検察官僚の横暴を放置したままでいいのか。 このような検察官量が更迭されずに出世していく現実を放置していいのか。 政治もメディアもそれを追及しようとしない。 やはり小沢氏を一度この国の総理にさせて、この国の権力構造を変えさせ なければダメだ。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)