□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン 2010年8月27日発行 第69号 ■ =============================================================== イラク戦争の検証はこのエピソードひとつで十分だ ================================================================ イラク戦争の検証について、もうひとつだけ書いておく。私の知らなかった 貴重な情報を見つけたからだ。 イラク戦争の検証の他にもなすべき事は山ほどある。イラク戦争の検証は これひとつで十分だ。 8月27日の朝日新聞「池上彰の新聞ななめ読み」が教えてくれている。 「新聞の役割のひとつに、『ニュースのその後』を追いかける仕事があります。 一時は大きなニュースになったが、いつしか忘れ去られてしまったことを 現時点から検証する。これが大事な仕事です・・・」 こういう書き出しで始まる池上氏のその記事は、朝日新聞のイラク戦争検証 の連載特集記事「ニッポン人脈記 イラク 深き淵より」の連載14回から、 次のようなエピソードを紹介している。 すなわちイラク開戦2日前の03年3月18日、小泉首相は、記者団に対し て、「「米国が武力行使に踏み切った場合は、支持するのが妥当ではないかと 思っている」と語ったが、石破茂防衛庁長官は、小泉首相がイラク戦争を支持 する考えであった事を、「その時はじめて聞いた」と言い、「閣僚懇談会のよう な場で、イラク戦争支持の是非を議論したことはない」と言ったというのだ。 そして池上彰氏は次のように書いている。 「国際社会の支持がほとんどないままイラクを攻撃したアメリカ。日本はどう いう態度をとるべきか、様々な議論があったと思っていたのに、それがまったく なかったとは・・・」。 当時私はレバノンに勤務していて国内でどのような議論が行なわれていたのか、 それらの報道についての詳細は知らない。 しかしこのエピソードが本当なら、それひとつで検証は十分だ。 国の行方を左右するような問題であっても、かくも無責任な形で決められたと いうことだ。 そしてそれは今も変わっていないに違いない。 政権交代が起きても同じままに違いない。 間違った政策をとっても誰も責任を取らない。その積み重ねが今日の日本の 行き詰まりにつながったと私は思っている。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)