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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

イラク開戦を支持した事を一切検証しようとしないこの国の指導者たち
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン 2010年8月26日発行 第67号 ■        ===============================================================        イラク開戦を支持した事を一切検証しようとしないこの国の指導者たち                                        ================================================================   米軍がイラクから撤収し始めた。完全撤退は来年(2011年)末である とは言え、もはや米国のイラク戦争は終わった。  米軍撤退後にイラク情勢が再び不安定になっても、米国が軍隊を再派遣して イラクを統治しようとすることはない。できない。  おびただしい犠牲者とイラクの混乱を残し、責任を取ることもなく米国の イラク戦争は終わり、米国はイラクから去って行く。  そんな米国に怒りを覚え、それが許される国際政治の不条理に失望する。  しかし、もっと腹立たしく残念なのは、米国のイラク開戦をいち早く支持した 日本の指導者たちが、米国を含め世界の主要国の指導者たちが曲がりなりにも その過ちを認め反省する中で、誰一人としてイラク開戦について語らないこと である。それを許す日本のメディアと世論の不甲斐なさである。  8月23日の毎日新聞が当時の米国連大使であったネグロポンティ氏との単独 インタビュー記事を掲載していた。  その中でネグロポンティ大使は語っていた。  安保理決議を欠いたままの開戦について、「急ぎすぎた」、「(国際社会の 支持を得られず)十分な正当性がなかった」、と。  このネグロポンティという人物はブッシュ政権下において国連大使をつとめ、 その後は、イラク大使(04年―05年)、初代国家情報長官(05年―07年)、 国務副長官(07年―09年)などを歴任した文字通りブッシュ政権の真ん中に いた人物だ。  そんな人物までもが今やイラク開戦に正当性はなかったと言い出したのだ。  小田実に言わせれば、後になって「実は・・・」と話すような人物など信用 できないということになるが、それでも反省しないよりはいい。  翻って日本はどうか。  当時開戦を支持した指導者の中で一人としてイラク開戦について語る者がいる というのか。  実は鳩山元首相はかつて予算委員会でイラク戦争は誤りだったと答えたことが ある。  これは物凄い発言であった。  しかしその鳩山首相は軽々しくその言葉を口にしただけでイラク開戦支持の 検証をするでもなく、普天間問題で迷走したまま首相の座を投げ出した。  政治家もメディアも鳩山首相の「イラク戦争は誤りだった」という発言は なかったかのように沈黙したままだ。  確かに超党派の国会議員がその検証を政府に求めた動きはあった。しかしそれ は形だけで終わっている。  政治がそうであるから一般国民がイラク開戦の検証をいくら政府に求めても なんの発展性もない。  ここにこの国の異常さがある。この国の対米従属の絶対性がある。  今日本の政治は菅政権の続投か小沢民主党政権の実現かで正念場に差しか かっている。  菅民主党が継続された場合は、対米従属が固定化されていく事は間違いない。  それではもし小沢民主党政権が成立すれば少しは対米自立外交が実現するのか。  日米同盟反対とまでは言わなくてもいい。せめて普天間問題で沖縄県民の為に 米国と話し合ってみると政治家小沢一郎は言うのだろうか。  そもそも小沢氏は民主党代表選挙に立候補するのか。立候補して、堂々と 菅政権との政策の違いを掲げるのか。  私の関心はもっぱらその一つにある。  そうでなければ民主党の代表選挙などは茶番でしかない。  自民党時代に繰り返された権力にしがみつきたい者同士の権力争いでしかない。  もうすぐそれが国民の目に明らかになる。                                了

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