□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン 2010年8月21日発行 第62号 ■ =============================================================== 東京新聞の健闘を無駄に終わらせてはいけない ================================================================ ひとり東京新聞が健闘している。 アスベスト問題は第二のリクルート問題になるかもしれない。 8月18日の東京新聞のスクープについては19日のメルマガ第60号で 書いた。 その後も東京新聞はこの問題を追及している。 そしてそれらの記事を読むにつけてアスベスト問題は私の想像している以上 に深刻な問題である。 建物解体工事の現場ではアスベストを分別して処理しなければならないにも かかわらずほとんどそれがなされていないという。 住民の通報で駆けつけた労働基準署や区の職員が「これはまずい」と顔を しかめたという。 なぜこんな事になるのか。それは行政が明確な対策を講じず、問題の処理を 業者の判断に委ねているからだ。 真面目に対応すればコストがかさむ。業者によって対応が異なるのは当然だ。 正直者が馬鹿を見ることになる。 私が許せないと思うのは、国交省や環境省がその危険性を知っていながら 有効な対策を講じないまま平然としていることだ。 この事を8月20日の東京新聞は08年12月の国交省社会資本整備審査会 などの資料などを検証して明らかにしている。 彼らは危険を知っていながらやりすごして来たのだ。 東京新聞によれば、今年3月に川田龍平参院議員がこの問題を国会で取り 上げ、アスベスト混入の建材破片が分別されずに処理されている危険性を質し ている。 それでも国交省、環境省は「業者の過失による特異なケース」であると 答えて恥じない。それが許されているのである。 民主党政権は何をやっているのだろうか。 かつてリクルート事件が日本の政界を揺るがす大問題に発展したのは、朝日 新聞の地方局、社会部の調査報道がきっかけだった。 今度の東京新聞のスクープも社会部と川崎支局の記者らが解体現場に足を 運んで書いている。 テレビや全国紙はこの問題を取り上げなければならない。国民がこの事実を 知ると必ず大問題になる。 民主党政権はアスベスト問題が火を吹く前に手を打たなくてはならない。 東京新聞のスクープを無駄にするならやがて大きなツケを払わされるだろう。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)