□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン 2010年8月18日発行 第59号 ■ =============================================================== 鎌田慧が見抜いた「欺瞞の平和論」 ================================================================ この人の言説に誤りはない。 およそあらゆる人物の言説を批判する私が、そこまでその言説を信頼する 人はめったにいない。 そのめったにいない人の一人がルポライターの鎌田慧氏である。 反権力、弱者の視点、平和への思い、どれをとっても揺ぎなく正しい。 その鎌田慧氏が8月17日の東京新聞「本音のコラム」で、私が菅民主党 政権に伝えたい事を見事に代弁してくれた。 菅内閣への失望感を次のように語るのである。 「・・・菅首相は戦没者追悼式で、アジア諸国の人々に多大な損害と苦痛を 与えた事を深く反省する、と語って靖国神社へは閣僚ともども参拝しなかった。 『反省」であって『謝罪』ではなかったとしても、日本もようやくアジアの 一員として生きる道を示した、といえる。 『恒久平和の確立に全力を尽くす』とも明言している。 それなら沖縄の米軍基地を縮小する道筋を語ってほしかった。 これこそが戦争のために設置されている施設なのだが、菅内閣は自公政権と 変わることなく、『日米安保』をタブーとし、『日米合意』を口実にして 動かない・・・(中略) 日本では平和憲法があっても、沖縄基地の戦争状態には目をつぶったまま、 平和が語られてきた・・・(中略) (米国の)戦争に組み込まれ続けてきた沖縄に無関心なまま、平和を語る のは欺瞞である。」 これほど的確に菅民主党政権の今の外交姿勢の不透明さを指摘した文章が あっただろうか。 鎌田氏は民主党による政権交代を誰よりも歓迎した一人だ。 その鎌田氏のこの言葉こそ、今の菅民主党政権が身を正して傾聴すべき言葉だ。 まだ遅くない。 菅首相や仙谷官房長官は政権を手にして有頂天になるのではなく、本気に なって平和国家日本の実現に向かって先頭に立ってほしい。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)