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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

菅民主党政権のもう一つの外交試練ー日韓併合100年「首相談話」
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■  天木直人のメールマガジン 2010年8月8日発行 第48号 ■        ===============================================================        菅民主党政権のもう一つの外交試練―日韓併合100年「首相談話」                                          ================================================================      菅民主党政権を批判する事は私の本意ではない。できれば民主党政権の手で 行き詰まった日本を革命的に変えてもらいたいと今でも思っている。  しかし対米外交を見る限り残念としか言いようがない。  外務官僚の言いなりになった余りにも対米従属的な姿勢を就任以来ここまで 見せつけられるとは思いもよらなかった。  もとよりその責任は鳩山前首相にある。  対米自主外交の素振りを見せておきながら米国とその米国の手先と化した外務 官僚に脅かされ、たちどころに「不勉強でした」と膝を屈し、それでも詫び 足りないとばかり、辞任に追い込まれてしまった鳩山首相。  それを見たら、後に続く首相が誰であろうと米国の機嫌を取る事を最優先する しかない。ましてや権力欲が強いと言われている菅首相夫妻の事である。  それにしても、よりによって原爆記念日と言う象徴的な日に、国民の前でこれ ほどまでに無節操な発言を行なうとは、怒りを通り越して悲しくなる。  広島平和式典の挨拶で、「唯一の被爆国である我が国こそ核兵器のない世界の 実現に向けて世界の先頭に立つ」と宣言し被爆者を喜ばせておきながら、その直後 の記者会見で、「核抑止力は必要」と言って見事に裏切った、その事である。  それもこれも対米関係を重視するあまり外務官僚の言いなりになっているから である。  政治家ならばせめて「核抑止力の要らない世界の実現に尽力する」ぐらいの 発言をしてもらいたかった。  対米外交は菅民主党政権の最大の外交試練であり続けるだろう。  しかしもう一つの外交試練が菅民主党政権の目の前に立ち塞がろうとしている。  それは日韓併合100年を迎える「首相談話」である。今日のメルマガはこの事 について書く。  仙石官房長官は去る7月7日の日本外国特派員協会における記者会見で、突如 として日韓間の戦後処理は不十分であるという発言を行い、これがたちまち右翼的 立場から批判された。  この問題は、今月中にも行なわれる予定の日韓併合100年「首相談話」の タイミングと内容において、大きな外交、内政問題に急浮上するだろう。  8月7日の各紙によれば、玄葉政調会長が「賠償、補償の話が蒸し返される ことは絶対にあってはならない」と報道各社のインタビューで述べたという。  さらにまた民主党内の笠浩史、松原仁国対副委員長ら右翼的な議員が「慎重に 運んでほしい」と仙石官房長官に申し入れたと報じている。  いまさら「首相談話」を行なわないわけには行かない。  だからといってこれまで以上に踏み込んだ談話を行なえるような政治的強さは 今の菅・仙石民主党政権にはない。  村山談話以上のものは有り得ず、ましてや賠償、補償に踏み込む事は有り得ない。  中途半端な談話によって外交的にも内政的にも不満を残す結果に終わるだろう。  私は個人的には日本の過去の清算はいつかの時点でより明確かつ二度と議論が 蒸し返されない形で決着されるべきだと考えている。  しかしそのためには国民の理解を得る努力をもっともっとしなければならない。  その上で覚悟をもって政治的決断をしなければならない一大事であるのだ。  時の政権の一つや二つが吹っ飛んでも足りない、あるいは首相の命の一つや二つ が失われても足りない、それほどの一大事である。  昭和の歴史を振り返る時、歴史認識の問題がいかに日本にとって大きな問題で あるか、そして右翼、左翼の立場を問わず、先人たちがいかにこの問題で苦慮して きたか、それを知らなければならない。  ただでさえ弱体な今の菅・仙石民主党政権がこの一大事に新しく踏み込めるとは とても思えない。  それにもかかわらず軽率にも賠償発言をしてみたりする仙石官房長官は、軽率 というより思い上がっているのではないか。  それを抑止できない今の菅首相には明らかに指導力が欠如している。  加えて菅・仙石民主党政権には「左翼政権」という大きなハンディがある。  私は今の民主党政権が左翼的だと決して思わない。しかし菅、仙石という政治家 には間違いなく左翼的活動の履歴がある。  たとえそれが根拠なき言いがかりであるとしても、「左翼政権」にだけはそれを させてはならない、と右翼につけこまれる口実を与える。  残念ながら民主党政権は8月にまたひとつ大きな外交試練を迎えることになる。                                            了                                                                                 おしらせ                                                                            「さらば日米同盟」の出版記念講演が本日(8月8日)都内で開かれます。  政治評論家の森田実さんの特別参加を得て次の要領で行ないます。  私の思いを語り、森田さんに私の質問をぶつけます。乞うご期待。  13:35-14:00 天木直人「出版の意図を語る」  14:05-14:45 森田実 「特別講演」         休憩  15:00-16:00 天木直人・森田実対談(司会天木)  16:00-17:00 聴衆との応答(司会天木) 日時 8月8日(日)    午後一時開場 場所 赤坂区民センター大ホール    港区赤坂4-18-13    地下鉄銀座線・丸の内線 赤坂見附駅 A出口徒歩10分    大江戸線・半蔵門線 青山一丁目駅  4番出口徒歩10分 参加 無料(予約の必要はありません。直接会場へお越し下さい)。 (連絡先:春田 090-2415-7617 u12u9lo6@image.ocn.ne.jp                 ユー12ユー9エルオー6)             

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