… … …(記事全文8,467文字)
前回は、2月28日(土)の米国・イスラエル連合軍によるイラン攻撃の開始直後の情報をお伝えしました。この原稿を書いている8日(日)で9日目に突入しましたが、やはり、イランへの“意表を突いた”電撃攻撃により、短期間で一気に勝負をかけようとした米国・イスラエル軍が思うような成果を上げれなかったことで、現時点では長期戦の様相を呈しています。
日本の報道を少しチェックしてみたところ、いつもとは異なり、今回は一応、双方の立場や見解を報じている様で、正直驚きました。大手メディアの「トランプ嫌い」がそうさせているのかもしれませんが、いつもの善悪二元論が今のところ影を潜めている点は歓迎すべきだと思っています。
また日本にとって遠く離れた中東での戦争とは言え、中東諸国に石油を依存する日本としては、ホルムズ海峡の事実上の閉鎖が長期化すれば、深刻なエネルギー問題が勃発しますので、事実を報道する姿勢を大手メディアも示しているのかもしれません。
8日現在、イラン革命防衛隊は、ホルムズ海峡に機雷を撒き、海軍が完全封鎖している訳ではなく、港湾や船舶に対してイラン海軍が度々攻撃を仕掛け、船舶に圧力を掛けているのが現状のようです。3月4日以降から7日時点で、積載量1万トンを超える船舶で海峡を西へと渡ったのは僅か6隻で、その内の4隻はイランと関係のある「影の艦隊」と呼ばれるタンカーとの情報が出ています。
この「影の艦隊」の行先は中国です。ロイター通信は6日、「3人の外交筋」の談話を引用し、中国は石油タンカーとカタールの液化天然ガス(LNG)を積載する船舶のホルムズ海峡通航の安全確保のため、テヘランと協議していると報じました。
そして翌日の7日には、イランと中国は合意したと報じられています。中国は石油の約45%を中東から輸入しているため、死活問題となりかねません。実際ホルムズ海峡を通過する船舶をモニターする情報サイトでは、多くの船舶が停泊する中で数隻が通過しているレーダー映像も散見されますが、おそらく、これらの船舶が中国行きの「影の艦隊」だと思われます。
停泊中の幾つかの船舶はこの中国の動きを見て、即座に中国船舶を口頭で名乗り、通行しようとしたものの、その結果、イラン軍から船の側面を射撃されるという映像も出ています。また一部情報では、米海軍がホルムズ海峡を通過する際、護衛するとも言われているようですが、米海軍と海峡に入れば、イラン軍の格好の標的となるだけですので、この情報の信憑性は低いと言えるでしょう。
また余談ですが、日本のマスメディア報道をみていて気になる点は、米軍の実力を現実以上に過剰に評価する報道や専門家の意見が多いところです。他国の軍事力を持ち上げるなど、世界を見渡しても全く不思議な感覚なのですが、過剰に持ち上げることで日本の国益になるのでしょうか?
例えば、28日のハメネイ師の殺害を、モサドやCIAなどの諜報機関が衛星情報や携帯電話をハッキングするなどして最新技術を駆使して実行したという説があります。実際に「ハイテク技術」を使い、リモートでオペレーションを実施した可能性も否定は出来ませんが、事実が表に出てくることは当分ありませんので、今のところは飽くまでも一つの「仮説」に過ぎません。
この件については、別の角度からも説明が可能です。今年のイスラム教の断食を行う期間(ラマダン)は2月18日に始まり3月19日まで続きます。またイランではイスラム教の伝統に従い木曜・金曜日が休日となっており、土曜日は週明けの初日となります。しかも米国との外交交渉が行われる中で、ラマダン期間中の休日明けに、ハメネイ師の邸宅もある場所に要人が多数訪れ会議を開くのは高い確率で予想出来ます。しかも土曜日はユダヤ教徒にとっては神聖な日ですから、イラン側もまさか土曜日にイスラエルが攻撃を仕掛けることは無いとみて、油断していた可能性も排除出来ません。
そして最終的にはモサドの最高位のスパイで、5日に「自決の刑」で処刑されたイスラム革命防衛隊の特殊部隊「コッズ部隊」の司令官イスマイル・カーニ准将が(※写真)、28日土曜日に要人全てが集合したのを目視し、会場を出て、その旨を携帯電話でモサドに報告すればそれで済む話です。これは地味ですが、確実な作戦と言えます。
ハリウッド映画等の影響(洗脳)で、米軍は物凄い技術を持っていると刷り込まれていますので、ついつい米国はハイテク技術でハメネイ師を殺害したのだ!と思いたくなる気持ちも分かります(マドゥーロ大統領拘束事件も同じで、実際はアナログだったとみていますが、ここでは割愛します)。自分がこの重要な任務を任された立場にいると想定すれば、私なら作戦の成功率の高い方法を選択しただろうと思います。
前置きが長くなりました。今回の米国・イスラエル軍の攻撃も、例に漏れず激しい空中戦となっています。7日にはイランの石油貯蔵所への攻撃も開始し、首都テヘランの製油所や貯蔵所が大炎上している映像がSNSで拡散されています。しかし攻撃開始から僅か1週間で、遂にイラン国内の石油貯蔵所まで攻撃したということは、米国・イスラエルに焦りが出てきているのではないか?とみています。ということで今回は、この焦りの幾つかの原因を掘り下げてみようと思います。




購読するとすべてのコメントが読み放題!
購読申込はこちら
購読中の方は、こちらからログイン