… … …(記事全文9,846文字)今年に入り、トランプ政権の動きが非常に慌ただしくなってきました。前回トランプ政権による1月3日のベネズエラでのマドゥロ大統領の拉致事件についてお伝えしましたが、今回はそれとほぼ時期を同じくして勃発したイランにおける暴動について現時点で分かっている範囲でお伝えしたく思います。
イランで“お馴染みの暴動”勃発
今回のイランにおける暴動は、2014年にウクライナで起きたマイダン革命に酷似しているというのが私の所感です。マイダン革命勃発の原因は、当時のウクライナのヤヌコヴィッチ大統領(※写真)がEU加盟に関する書簡に署名せず、一旦ペンディングとしたことにありました。
これに伴い「自由」とか「民主主義」という“モワッとした幻想”に憑りつかれ、「西側諸国に仲間入りすれば、贅沢な暮らしが出来る!」とか「ウクライナの経済成長を邪魔しているのはロシアだ!」という人々が、まずキエフ市内の広場に集結し“平和的なデモ”を展開しました。最初の数日間は平和な抗議デモでしたが、その後、明らかに組織化された軍団がウクライナの各方面(特に西ウクライナ)からキエフのデモに参加し始め、デモは過激化し、治安部隊との衝突が始まり、100名を超える死傷者が出る暴動へと繋がっていきました。結局、同年2月22日深夜、命の危険を感じたヤヌコヴィッチ大統領はキエフから脱出し、ロシアへと逃げ出しました。武力クーデターは見事成功し、その後西側の傀儡であるキエフ政権が誕生。最終的にはロシアとの全面戦争に突入し、現在に至ります。
現在イランで起きている暴動も、これとほぼ同じパターンの政権転覆の試みです。政府が汚職にまみれ、一向に経済が良くならないウクライナの国民は、欧州に希望を見出した。つまり国内生活の不満が暴動の切っ掛けとなった訳ですが、イランにおける暴動も通貨リアルの急落により、経済状況が悪化した数百人のイランの商人達による抗議活動が切っ掛けだと言われています。
昨年の12月28日、イランの通貨リアルは対ドル為替レートで1ドル=142万リアルにまで急落しました。1ドル=100万リアルというのが心理的水準だったようですが、それを越えたことが大きかったと思われます。因みにイランのペゼシュキアン大統領は昨年11月、通貨リアルのデノミを決定する大統領令に署名したばかりでした。この大統領令はまだ発効はしていなかったようですが、この措置により4桁がカットされることになり、以前の10,000リアルは1リアルになる方向で動いていました。
余談ですが、私はロシアがデノミを行った1998年以前のハイパーインフレを実体験しています。ロシアの場合は3桁をカットするデノミを行い、1000ルーブルが1ルーブルに代わりました。私はドルをルーブルに両替して暮らしていましたので問題ありませんでしたが、給与をルーブルで貰い生活し、貯金をしていたロシア人達は大変だったようです。例えば1万ルーブルでパンが買えたとすると、翌日にはパンの値段は対ドル為替レートに従い1万1千ルーブルに値上がりする、というのが当時は当たり前で、ルーブル建ての給与や貯金は日に日に目減りしていく・・・。為替暴落とハイパーインフレとは恐ろしいものです。イランの場合はここまで悪化はしていないでしょうが、インフレが相当市民の懐にこたえたのは間違いなさそうです。
この通貨の暴落も、経済状況の悪化も、西側による制裁が原因と言われています。しかしイランと言えば2024年1月1日からBRICSに加盟しており、また上海協力機構にも加盟しています。そしてロシアとの貿易は2国間通貨で行われ、イランはドルに依存しない脱ドル化へ向けて動いていたはずです。ですので通貨リアルの対ドル為替レートでの暴落を暴動の原因とする報道には少し違和感を感じました。



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