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米国のEU委員会への攻撃が本格化~トランプ政権の国家安全保障戦略(NSS)を分析!

米国国家安全保障戦略(The National Security Strategy)

 今月の4日(木)、米国のホワイトハウスは新たな「国家安全保障戦略(NSS)」を発表しました。ここ数カ月間、特に西側メディアから流れるトランプ発言に影響され、「トランプはネオコンに寝返った」、「当初の方向性を変えた」などと批判する人々が増えていましたが、今回のこの安全保障戦略を見る限り、当初の路線、つまり反グローバリスト路線からブレていないことが分かります。

 ウクライナ戦争を引き起こした張本人であるジョー・バイデン前大統領は、2022年にNSSを発表しましたが、彼の国家安全保障戦略では、主にロシアと中国に対する米国の立場に焦点を当て、ウクライナ戦争を「ロシアによる挑発行為の無い、残忍な戦争」と謳い、ロシアを非難し、ロシアを封じ込める戦略を優先事項に掲げました。そしてバイデン政権はそれを実行するために、「強力な国家連合」を創設し、集団的影響力を高め、「その連合の中核を成す民主主義諸国との協力を深める」ことを強調し、欧州勢をこの泥沼のウクライナ戦争支援へと駆り立てました。

 しかしこの「ロシア封じ込め戦略」は全く効果がなく、欧米が如何に軍事支援を行おうともロシアは屈することはなく、逆に戦時経済は成長をみせ、ロシアの軍事産業は年々製造力を増加。NATOの武器・砲弾・弾薬、ドローン製造量を圧倒的に上回る体力をつけてしまいました。更にバイデン政権が作り上げたG7などの「強力な国家連合」から距離を置くグローバル・サウス、BRICS+諸国などが台頭し、3大核大国の一つである中国とロシアの関係をも強化させてしまうという、米国にとっての戦略的大敗と言っても過言ではない最悪の結果を招いてしまいました。

 

 今年の1月20日にトランプ政権が誕生し、米国の戦略は180度転換することになりました。しかし皆さんもご存じの様に、現在のEU加盟国の一部や英国、カナダなどに代表される「有志連合」の国々は、未だにこのバイデン政権時代に描かれた米国の国家安全保障戦略の中に生きています。この点については私のYoutubeチャンネルでもお伝えしてきています。彼らはこの過去の戦略=幻想を未だに夢見、戦場でロシアに勝てずとも、何とか戦略的敗北を与えようと、国内で四面楚歌状態のゼレンスキー氏への支援を謳い続けています。

 プーチン大統領もこの幻想から目覚めるよう、最近では直接的表現を使い、欧州勢にメディアを通じて語りかけています。そのような流れの中で、今回、トランプ大統領が新たな米国の国家安全保障戦略を発表した訳です。しかもその内容は、今までのバイデン政権のそれとは180度異なり、欧州の戦争継続派にとどめを刺すと言っても過言ではない内容です。米露両大国のトップが、ほぼ同時期に戦争継続に固執する欧州勢に外交圧力を掛け始めているのが現在の姿です。ということで今回は、この新たな米国国家安全保障戦略についてお伝えします。

 

トランプ政権の安全保障戦略

 新たな国家安全保障戦略の内容の重要なポイントは、以下の通りです:

米国はモンロー主義に回帰する

★ロシアとの「戦略的安定」を確保する

★欧州との関係見直し~NATO拡大阻止、軍事同盟からビジネスパートナーへ

★中国との紛争は避け、経済関係を維持

 このように大きく4つのポイントに分けられるかと思います。このトランプ政権の国家安全保障戦略は33ページから成り立っていますが、この中で特に力を入れていると伺えるのが「欧州との関係見直し」です。トランプ政権もこの点のみを言いたかったのではないか?と思えるほど、今までとは全く異なる戦略を謳っています。ということで、これら4つのポイントを順を追ってみていきたく思います。

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