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【中国の台湾有事想定演習――「落とす」より「止める」】
2025年末、中国人民解放軍は台湾周辺で大規模な軍事演習を実施した。この演習は12月31日をもって一区切りとされたが、その内容を冷静に見ると、従来の「侵攻演習」とは性格が異なる点が目立つ。
注目すべきは、上陸作戦や航空優勢、ミサイル運用といった要素以上に、「封鎖」を強く意識した構成だったことだ。港湾、空港、主要航路。台湾を軍事的に“占領する”よりも、経済と交通を“止める”ことに重点が置かれている。
これは、中国が想定する台湾有事の基本的な発想をよく表している。中国は「いきなり戦争を始める」よりも、相手が判断に迷い、対応が遅れる状況を作ることを重視する。戦争と平時の境目を曖昧にし、相手に決断を迫らせないまま、既成事実を積み重ねていくやり方だ。
【演習は終わっても終わらない――尖閣諸島沖の現実】
演習は31日で終了した。しかし、その後も中国の動きが止まったわけではない。
尖閣諸島沖では、中国の船舶が引き続き日本のEEZ内に入り、海上保安庁が警告と監視を続けている。これは単発の出来事ではない。年間を通じて、中国船の確認が常態化しているのが現実だ。
台湾と尖閣は地理的に離れた場所ではない。地図を見れば分かる通り、同じ海域の延長線上にある。
中国側の視点に立てば、台湾と尖閣は「別々の問題」ではなく、同時に動かせる対象だ。台湾で圧力をかけ、同時に尖閣周辺でも緊張を高める。それだけで、日本側の判断と対応は分散される。
【なぜ「海上保安庁」が最前線になるのか】
