… … …(記事全文3,668文字)たまには歴史モノを。
奈良・東大寺の境内に静かにたたずむ正倉院宝庫は、シルクロードの至宝を今に伝える、日本を代表する文化財収蔵施設だ。
校倉造(あぜくらづくり)が守る「奇跡の宝庫」「千年以上手付かずの聖域」と語られてきた。
しかし、宮内庁正倉院事務所による科学的調査の結果は、それを否定するものだった。まず、正倉院の構造について解説すると、正倉院の宝庫(正倉)は、北倉・中倉・南倉の三倉に分かれている。
北倉・南倉:校倉造(あぜくらづくり)。三角形に加工した巨大なヒノキ材を井桁状(ログハウスのように)に積み上げる構造。中倉:板倉造。厚い板を落とし込んだ壁で、北倉の南壁と南倉の北壁を共用する形。
正倉院の掲示板の画像
https://wanderkokuho.com/102-02572/三倉はそれぞれ独立した空間で、内部は二階建て。
各倉とも東側中央に入口があり、高床式の全体構造になっている。
北倉は主に聖武天皇・光明皇后ゆかりの品を収め、勅封倉(ちょくふうそう:天皇の許可が必要)として特に厳重に管理されてきた。正倉院の校倉造は、三角形に加工したヒノキ材を積み上げる日本独自の構造だが、江戸時代後期の学者・藤貞幹が唱えた「湿度が高いと木材が膨張して隙間が閉じ、乾燥すると収縮して隙間が開く」という「天然エアコン説」は、長らく定説として語られてきた。
しかし、宮内庁正倉院事務所保存科学室による2001〜2002年長期実測調査は、この「隙間開閉説」を否定した。
重い屋根の荷重下では木材の伸縮量は極めて小さく、1mm程でしかなく、劇的な開閉は起こらなかったからとのことだった。
しかし、たった1mmであっても校倉造の実際の保存効果は優れており、同じ調査で校倉造の北倉・南倉は板倉造の中倉より温度・湿度変動幅が小さく、校倉造の方が安定した環境を提供していることは確認されているにも関わらずだ。
実際の保存効果は、宮内庁の発表では、校倉造だけでなく、木材自体の吸放湿作用や高床式の通風、そして宝物を入れていた箱である杉製唐櫃(すぎせいからびつ)による多重保管の複合結果だったと主張した。
そんなことは、当たり前ではないだろうか?この後、正倉院誕生の真相と聖武天皇の国家再建計画に迫る!
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